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時が止まった「居場所」 福岡・親不孝通りの喫茶店が40年  表現者との“絆”でカフェ戦争しのぐ

2016年12月22日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 「屋根裏 貘」を40年間営んできた小田満さん(左)と妻律子さん。「開店時、20歳だった学生は、もう還暦なんだよね」

  • エアロスミスのアルバムジャケットから着想した「宝箱」(手前)や、時間が止まった時計など、独特の雰囲気が漂う店内。

 カフェチェーンが立ち並ぶ激戦地、福岡市・天神。その北部の「親富孝通り」で、40年続く喫茶店がある。「屋根裏 貘(ばく)」。オーナーの小田満さん(76)と妻律子さん(68)が、細々と営む昔ながらの店だ。開店当時、予備校の学生たちであふれた界隈も、今ではすっかりにぎわいが薄れてしまったが、店を訪れる客は後を絶たない。それは、夫婦が紡いできた人と人との“絆”の証だ。

 通りは1970年代、近くの予備校に通う浪人生が多く歩いていたことから、「親不孝通り」と呼ばれた。予備校生ら若者目当ての飲食店が軒を連ね、80年代半ばにはディスコ、90年代にはライブハウスもできた。しかし、2000年代に入ると予備校も既に閉校して通りは衰退。愛称も地元では「親富孝通り」に改称されたが、元に戻すべきだという議論も起きている。(※)

 小田さん夫婦が店をオープンしたのは、ちょうど40年前、1976年12月24日のクリスマスイブだった。小さなビルの2階で、店舗面積は60平方メートル弱。狭い階段を上がると、細長のスペースにカウンター席とホール席がある。むき出しの梁(はり)や低い天井は店名通り、「屋根裏」のたたずまいを感じさせる。

 ホールには宝箱を思わせる大きな木箱や古いピアノがあり、11時を差したまま止まった時計が薄明かりに淡く映えている。BGMは壁に染み込むようなジャズ。まるで店全体が骨董(こっとう)品のようで、その落ち着いた「昭和の薫り」が常連客に愛されている。


妖怪絵師として知られる三日月電波さんが「屋根裏 貘」のために描き下ろしたというイラスト。夢を食うバクの妖怪が、震災を引き起こすナマズの化け物を退治する場面が描かれている。
ギャラリー「アートスペース貘」。12月、九産大卒業生で、貘でアルバイト経験もある陶芸家前田尚子さんの作品が展示された。
ギャラリーでの個展を控えた写真家の男性(左)を交え、展示方法などを打ち合わせる小田夫妻。
屋根裏部屋を思わせる店内で、多くの表現者たちとの絆や、福岡の現代アート事情、時代や街並みの変化…などを語る小田夫妻。
「屋根裏 貘」入り口付近の「親富孝通り」の界隈。時代とともに街並みが変わる中、店の表情は開店時から変わらないという。
丁寧に一杯立てのコーヒーを入れる小田律子さん。コーヒーの香りが漂う中、優しいジャズと落ち着いた空間で客をもてなす。









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