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スペースワールドが閉園する事情とは 遊具老朽化や更新投資が重荷に?

2016年12月27日 03時00分 更新

記者:井崎圭


  • 営業中のスペースワールド。閉園発表後の週末は、多くの人でにぎわっているが…=北九州市八幡東区

 北九州市のテーマパーク「スペースワールド」(SW)が来年12月末での閉園を発表してから10日が過ぎた。注目を集める閉園理由について、運営会社の加森観光(札幌市)は口を閉ざしたままだが、敷地を所有する新日鉄住金との土地賃貸契約協議が不調に終わったことに加え、収益性の低さや老朽施設の更新なども背景にあったとみられる。「SW後」の土地活用策も含めて、地元ではさまざまな臆測が飛び交っている。

 16日の閉園発表後、週末になるといつにも増してにぎわうSW。高さ60メートルのスペースシャトルが、カップルや家族連れを見守るようにそびえ立つ。シャトルは1990年の開園時から園の象徴だ。新日本製鉄(当時)は80年代の円高不況で事業多角化を図る中、米国の宇宙体験・教育訓練施設の誘致に成功、工場跡地にSWを建設した。閉園後はシャトルも、他の設備と一緒に解体される見通しだ。

 閉園理由について、加森観光も新日鉄住金も「ノーコメント」を貫く。だが、地場財界の関係者は「老朽化設備の更新費用が今後大きな負担になるはずだった。そこに土地賃貸協議の不調や将来的な先細りも絡み、加森に撤退を決断させたのではないか」とみる。敷地は24ヘクタールで、SW側は年2億円の土地賃貸料を支払っていた。両者は昨冬から賃貸料などについて協議してきたが「折り合いがつかず契約更新に至らなかった」(関係者)という。

   ■    ■

 破綻した観光施設を再生してきた加森観光が、民事再生法の申請を適用したSWの経営を新日鉄から引き継いだのは2005年。新日鉄OBは「門外漢で失敗したが、プロならうまくいくと思った」と振り返る。

 加森は100人いたSWの正社員を半減させ、数年前からは閑散期の平日営業を中止してコスト削減を徹底。「広域より地元から集客するモデル」(関係者)を掲げ07年にスケート場、翌年に流水プールを整備。グループ施設が運営するアトラクションも移設した。

 加森は「集客は回復基調で09年から黒字。15年度は過去最高益」と説明するが、入場者数はピークの1997年度(216万人)に比べれば低水準で、12年度(164万人)を最後に公表していない。官報によると、13年度の利益は100万円だった。

 民間調査会社の担当者は「コストを抑え黒字は出せるが、盛り上げるまでいかなかった。積極投資を行う大都市の遊園地や、新鮮味のある企画が出るハウステンボスに比べ見劣りした」との見方を示す。

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 SW後について、新日鉄住金は「次の賃貸先を探している」とするだけだが、地元では「アウトレットが進出するのでは」「JRの駅や商業施設が隣接するので宅地開発か」などと臆測が飛び交う。

 25日にはJR鹿児島線を隔て隣接する日本中央競馬会(JRA)の場外馬券売り場(1万平方メートル)が、売り上げ低迷で営業を終了。土地と駐車場は新日鉄住金の関連会社が所有するため、SWと連動した活用の可能性を挙げる見方もある。

 四半世紀を刻んだSWの跡地にはどんな未来図が描かれるのか、地元は注視している。










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