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九州と関東の企業に「大きな違い」 留学生が“頭脳流出”するワケ

2017年01月01日 03時00分 更新

記者:吉武和彦


  • 「優秀な留学生が首都圏に吸収されている」と指摘するAPUの今村正治副学長

  • 合同企業説明会に臨むAPUの学生たち

 優秀な外国人留学生の採用を巡って、関東と九州の企業には「大きな違いがある」という。それは、求める人材像が具体的かどうか。グローバル展開の中身を詰め切れていないと、どんな人材が必要か分からず、結局、大手企業がひしめく関東に「人材が吸い込まれていく」。そんな指摘をする立命館アジア太平洋大(APU)=大分県別府市=の今村正治副学長に留学生の就業の現状を聞いた。

 ■圧倒的な地域格差が

 今村氏が注目するのが、九州での就業率の「低さ」だった。

 日本学生支援機構と法務省入国管理局によると、2015年の国内留学生は20万8379人。うち九州は2万3680人と11・4%を占めた。

 ところが、卒業後、就業したのは全国1万5657人のうち、九州は857人と5・5%にとどまる。

 これに対し、関東は対照的だ。留学生は11万4778人と全国の55・1%を占めるが、就業は1万47人と64・2%に上った。

 今村氏は「九州で学んだ留学生が首都圏に吸収されている」とみる。九州と関東にできた圧倒的な地域格差。その構図は「APUにも当てはまる」という。実際、15年度に卒業した留学生の就業をみると、九州が13・5%で、首都圏は66・7%だった。

 吸引力に大きな差ができた理由について、今村氏はこう分析する。

 「九州の企業は求めるグローバル人材の姿を具体的に描き切れていないことが多い。計画が具体的でないと、翻訳以外にどんな人材を採用していいか分からない。そうしている間に、優秀な留学生は関東へ就業し、九州から頭脳流出していく」

 ■ソニーや日産が採用

 留学生を巡る企業の採用熱は「年々高まっている」という。APUには年間、約400社が採用説明に訪れ、その7〜8割がソニーや日産自動車、日清食品、JTB、楽天、ユニクロといった関東に本拠を置く企業という。

 会場や日程の関係で、受け入れられる企業数は「もう限界に来ている」といい、最近は、採用説明の要請を「断らざるを得なくなっている」というほどだ。

 採用ニーズは、海外進出する大手製造業に限られているわけではなく、「業種を選ばなくなった」。16年に日本を訪れたインバウンド(訪日外国人客)が推計2000万人を突破したように、「化粧品やホテル、飲食チェーンといった内需型の企業も『外国人客のおもてなし強化』のため採用意欲を強めている」のが理由だ。

 こうした中、日本人学生の側にも「異変がみられはじめた」。APUの在学生は留学生と日本人が半々。そんな「多文化環境」に、「関東の親世代が興味を持ち、わが子を入学させようと動きだしている」というのだ。

 実際、日本人学生のうち、関東出身の割合は現在23%と、5年前の10%台から大きく増えた。

 今村氏は「関東の大手企業は海外展開を進めているケースが多い。そんな職場に勤める親世代が、グローバル人材の必要性を肌で感じているのではないか」と分析している。










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