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母乳神話にとらわれて

2017年02月16日 03時00分 更新

記者:新西ましほ


  • 新西ましほ
    鹿児島市出身。2006年入社、日田支局、長崎総局、生活特報部を経て14年5月から東京支社報道部。男女共同参画や少子化問題などを担当。趣味の食べ歩きを満喫するため、ベリーダンスを始めました。現在は、第1子出産のため産休中。

 あら、おっぱい出ないの? この言葉にこれほど自分が傷つくとは思わなかった。陣痛や出産の痛みが「大したことないと思えるほど」と言っても、言い過ぎではないと思う。

 昨年9月、「母乳とミルク」と題した連載記事を西日本新聞生活面に掲載した。母乳が出なくて育児に悩む母親たちや支援の実情を紹介したものだ。

 取材で母親たちに会い、気持ちは十分に分かっていたつもりだった。

 それなのに。実際に自分が同じ立場になってみると、想像以上につらく、苦しかった。

 ■39度の熱でふらふら

 1月26日に第1子を出産した。幸い安産だった。

 入院中はまったく母乳が出なかったが、私は母乳による育児へのこだわりはなかった。

 母乳は免疫成分が含まれるなどメリットは多いけれども、子どもが元気に育ってくれさえすれば、粉ミルクでもいいと考えていた。

 ただ、私が出産した病院は、母乳による育児に力を入れていて、産後もできるだけ早くから繰り返し乳首を吸わせるよう勧めた。

 出産から6時間後だった。39度近い熱が出てふらふらする中、子どもと同じ部屋で母乳による育児を始めることになった。

 母乳は、赤ちゃんに乳首を吸われる刺激でホルモンが分泌され、出てくる仕組み。

 指導された通り、子どもが欲しがるたびに吸わせたのに、胸はまったく張らず、乳首から出血して痛いだけ。子どもがこんなに頑張って吸ってくれるのに、出なくてごめん。すごく申し訳ない気持ちになった。

 ■助産師の一言に号泣

 授乳に追われ、入院中の睡眠時間は毎日2時間ほど。周りの母親たちは順調に母乳が出ているようで、次第に授乳室へ行くのも苦痛になっていった。

 そんな中、見舞いに来た母親や義母から「まだ出ないの」「そろそろ出始めたでしょ」「母乳の方がいいのよ」と口々に言われた。

 悪気はないのは分かっていても、寝不足と、お産による急激なホルモンバランスの乱れ、慣れない育児への不安…。精神的にギリギリだった私にとっては十分きつい言葉だった。

 退院前日だった。「大丈夫?」と声を掛けてくれた助産師さんの前で思わず号泣してしまった。

 「ママは頑張ってるよ」「この子はこんなに元気だし、ミルクでもちゃんと大きくなるから」

 そう励まされ、随分と気持ちが軽くなった。ストレスが大きかったのだろうか。翌日から少しずつ、母乳が出始めた。

 ■母乳じゃなくていい










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