ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

サラリーマン道場

一覧ページへ

【交渉術入門】(2)テーブルの「材料」を増やしていく

2017年04月12日 03時00分 更新

記者:岡重文氏


  • 岡 重文(おか・しげふみ)グロービス経営大学院教員、グロービス・マネジメント・スクール講師
     担当科目は「ファシリテーション&ネゴシエーション」、「クリティカル・シンキング」、「ビジネス定量分析」など。京都大学工学部応用システム科学専攻 修士課程卒業。NTTデータ、プライスウォーターハウスクーパースを経て、2000年にグロービス入社



 サラリーマンを応援するqBiz新企画【サラリーマン道場】です。

 脚光を浴びるロボットや人工知能(AI)には決してまねできないマンパワーを、パワーアップさせましょう!

 ビジネススクール「グロービス経営大学院・福岡校」(福岡市)とタイアップ。教員たちが仕事の現場で役立つビジネススキルをご紹介します。(qBiz編集部)


■■■

 前回は、交渉力の源泉となる「BATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement=不調時対策案)」について学びました(⇒こちら)。

 今回は、まず、1回目に登場した家電量販店での店員との会話の続きからみていきましょう。

 ■再び家電量販店にて

 前回、あなたは、パソコンを買い求めにA店とB店を訪ねました。

 定価15万円のパソコンが、B店は12万円で売っていたのに、A店では「13万円までしか値引きができない」と店員に説明されたのでした。

 そこで、あなたが「B店では12万円だったのですけれど…」と伝えたところまでで話は終わっていましたね。

 さて、ここからは、その続きです。

 A店店員がこんな条件を出してきました。

 「すみません、12万5千円までなら値下げできるのですが…」

 あなた「わかりました。では、B店で購入します」

 そう言って、立ち去ろうとすると、

 A店店員が「値段はそこまでしか下げられませんが、サポート無料、保障も3年間無料です」と付け加えてきました。

 あなたは、立ち止まり、話を続けて聞くことにしました。

 ■相手の関心事を増やせ

 さて、ここまでの会話を整理してみましょう。

 A店の店員は、「サポート」と「保守」について、言及しています。

 これは、それまでパソコンの「価格」についてのみにフォーカスして交渉が行われていたのに対して、「サポート」と「保守」という別のネタを交渉のテーブルに載せてきたことを意味します。

 実は、あなたはが今回購入しようとしていたパソコンは、実家の両親のためのものでした。

 セットアップや実際に使い始めてからのサポートなども必要になると、あなたは感じていたところでした。

 あなたは、実家に帰省した際にセットアップし、使い方の質問などは適宜、自分が電話で対応をしようと考えていたのです。

 そんな中、サポートが無料で提供されるとの条件が示されました。あなたは、思わず立ち止まり、話を聞くことにしたのでした。

 さて、このやりには、交渉を合意へ導くためのヒントがあります。

 それは、相手の関心事を増やすことです。

 交渉には、えてして、価格交渉のイメージがつきまといますが、価格だけに関心を置いた場合は、いくらにするかという金額の綱引きだけが行われることになります。

 相手の関心事が一つに集中する場合は、意見に広がりが出ず、交渉が進展する可能性は限定的になる恐れがあります。合意には相当な労力を要することでしょう。

 そこで、こうした状況を打開するには、できる限り相手の関心事を増やすことです。

 相手が反応するかどうかは分かりませんが、関心事を広げることで合意の可能性を高めていくのです。

 今回は、店員が偶然にもあなたの関心事にダイレクトにつながる提案をしました。

 今度は逆に、あなたの方から店員に対してどんな「関心事」の提示ができるか、考えてみましょう。これも交渉を有利に進めるための材料になります。

 例えば、「現金で支払う」ことは、お店にとってはインセンティブになるかもしれません。

 また、購入する時期も、「月末」や「年度末」ということであれば、営業成績の締め切りと重なって、「少しでも売り上げを上積みしたい」と意識している店や店員のインセンティブにつながるかもしれません。

 ■違いあるからこそ価値がある

 「価格」だけに集中していた交渉を「サービス」「保守」「支払い方法」「購入のタイミング」といった関心事に広げることは、価格だけの交渉では見いだせなかった双方にとっての新たな価値が生まれることにつながります。

 例えば、あなたは「無料のサポート」を、店員は「営業成績」をそれぞれ得ることができることなどがそうです。

 こうした新たな価値を見いだすことを目指せば、合意につながる可能性は自然と高まっていくのです。

 交渉相手は自分とは違う。違っているからこそ、それぞれ重要視する関心事も違ってきます。

 その「違い」を相互に利用することが、合意形成への近道となりますし、この「違い」があるからこそ、交渉する意味がある。そんな捉え方をしていきましょう。

 ■今日のまとめ

 相手は自分とは違う。だからこそ、合意ができる余地がある。

 交渉では相手の関心事を増やしていこう。


 次回は2週間後です。













コラム 寄稿コラムの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事