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転勤者飲み込む「福岡ブラックホール」 力の源は食にあり

2017年03月28日 03時00分 更新

記者:吉武和彦


  • しょうゆだれでゴマとサバの刺し身をあえた「ゴマサバ」(写真と本文は直接関係ありません)

  • 威勢よく行われる福岡市鮮魚市場の初競り=2013年1月5日午前3時56分、福岡市中央区長浜(撮影・軸丸雅訓)

  • スパイシーな熱々ソースで味付けされたカニやエビなどのシーフードをテーブルに広げて手づかみで食べる「ダンシングクラブ」=福岡市

  • 「福岡にはクオリティーの高い食材が集まる」と出店理由を語るミールワークスの小島由夫社長=福岡市

 福岡ではサバを刺し身で食べる。東京の人から見ると、信じられない光景かもしれない。対馬暖流に乗って豊富な魚介類が水揚げされ、野菜や青果の産地もひしめく。福岡は間違いなく“食の宝庫”と言えるだろう。その吸引力は「大阪、名古屋をもしのぐ」という欧州の飲食幹部の声もある。転勤のサラリーマンをとりこにする福岡「ブラックホール」の力の源に迫る。

 ■サバを生食するのが福岡流

 「初めて見たときは、目を疑いましたよ。福岡の人って、胃腸がおかしいんじゃないかって…」

 そう語るのは、関東出身の40代の男性会社員だ。就職で福岡に転入してきた20年ほど前。居酒屋で同僚たちが「うまい」「うまい」と口に放り込んだ「ゴマサバ」を見ると、しょうゆたれでゴマとあえた生のサバだった。

 「私は今も食べません。だって、東京では、生のサバには寄生虫がいて、食べると食中毒になるかもっていうのが常識ですから」

 実際、サバなど多くの魚の内臓に寄生する「アニサキス」は、食べて食中毒を起こすと、胃に激痛が走ったり、吐いたりする。

 ところが、福岡の「常識」は異なるようだ。その答えは、原因のアニサキスにあった。

 魚介類の寄生虫症を研究している東京大大学院農学生命科学研究科の良永知義教授(魚病学)に聞くと、「アニサキスの種類は日本海側と太平洋側で異なる」という。

 どういうことか。結論から言うと、福岡のサバは「食中毒になる確率が低い」。日本海側のアニサキスは魚の内臓から筋肉(刺し身)へ移行しにくいのだそうだ。

 アジやイワシといった他の青魚にも同じことが言えるという。福岡で青魚が「生食」されるのには、ちゃんとした生物学的な理由があったのだ。

 ■食の「地場調達率」も強みだ

 食材の「地場調達率」も福岡は東京に比べて高いようだ。

 九州最大のシンクタンク、九州経済調査協会(福岡市)の小柳真二研究主査はそんな分析を行った。

 着目したのは、中央卸売市場に集まる食材の産地だ。東京が関東一円から調達する食材は、野菜も魚介類も約4割(重量ベース、2015年)。これに対し、福岡が九州一円から調達する食材はいずれも6割(同)を超えていた。「隣県にも産地を抱えていることが強みになっている」と、小柳氏はみる。食材を近場で調達できれば、鮮度が良く、輸送コストも安くすむからだ。

 そんな地の利に魅せられて、シーフード料理を手づかみで食べるシンガポール発のレストラン「ダンシングクラブ」が16年10月、キャナルシティ博多(福岡市)に出店した。

 東京、大阪に続く国内3店舗目で、人気歌舞伎俳優の市川海老蔵さんも訪れて話題になった。

 訪日外国人客の人気スポットでインバウンド需要が期待できるが、狙いは別にあった。

 運営する飲食店経営ミールワークス(東京)の小島由夫社長は「福岡に集まる食材のクオリティーの高さと価格の安さにひかれた。ここを東京や大阪への食材供給基地にしたい」と語る。

 思惑通り、福岡のワタリガニや長崎のサザエ、熊本のクルマエビなど九州産の魚介類セットがヒット。東京でも「予想以上の売れ行き」(広報)という。



(手づかみで食べるカニやエビなどのシーフード料理)


 

ダ ミケーレ最高経営責任者のフランチェスコ・コンドウッロ氏(左)から「マエストロ」の証明書を授与される疋田さん(右)=福岡市
ピザ生地の上に載せるナポリから空輸したフレッシュチーズ。「鮮度が命」という
ナポリから運んだ石窯で疋田さんが焼いたマルゲリータ。チーズは濃厚なミルクのような味わいで、生地の焦げ目はまきの香りもした









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