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「スーパーマンになれない男」の話

2017年04月16日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 「スーパーマン」のエンブレム

  • 負傷者を受け入れた熊本市民病院も地震で被災。エレベーターが使えず、処置済みの負傷者を担架に載せ、階段で1階から8階まで運ぶ光景も=昨年4月15日未明、熊本市東区(撮影・木村貴之)

  • 熊本市民病院に用意された「トリアージ・タグ」。緑は軽傷、黄色は中傷、赤は重傷で、黒は死亡。病院では黒タグも使われた

 「スーパーマンになりたい」。決して正義のヒーローに憧れる子どもではなく、50歳を過ぎたオジサンの話。一瞬だが、あの時ばかりはそんなことを私はつい考えた。昨年4月の14日夜と16日未明。前震、本震ともに最大震度7の熊本地震が起きた時だ。あれから1年。震災を振り返るニュースに触れるうち、当時の思いがふとよみがえった。

 当時は熊本県荒尾市の支局に勤務。県北の荒尾は前震で震度4、本震は震度5弱。ともに大きな被害はなかったが、「非常事態」であることは前震の時点ですぐに察知した。支局舎を地面ごと突き上げるような縦揺れの後、横揺れが次第に激しさを増し、長く続いた。妻と仰天していると「益城で震度7」の報。荒尾が震度4と分かり、鳥肌が立った。数字を目にするだけでも、益城を襲った揺れがいかに強大なものか一目瞭然。本震でも震えた。2度目の最大震度7。「阿蘇大橋が崩落」の報も飛び、背筋が凍った。

 初動を振り返る。前震では、益城町に近い熊本市民病院(同市東区)に走り、負傷者の搬送状況を翌朝まで取材。本震では、熊本と阿蘇を結ぶ国道57号が通行止めになり、取材応援組に知らせる迂回ルートを夜明けまで探した。病院周辺では、潰れたように全壊した家屋やアパート、倒壊寸前まで傾いたビル。病院も被災していた。阿蘇に走った折は菊池方面からのルートを走行中、巨大な落石や路肩決壊、橋梁損壊、脱線列車でふさがれた踏切…に遭遇。立ち往生を重ねながらも、何とか阿蘇にたどり着いた。実はこのとき、一時避難中の妻を同伴。初動で悪戦苦闘する一方、妻の避難誘導にも頭を抱えた。その時だ。中学時代に見た映画「スーパーマン」(1978年、クリストファー・リーヴ主演)の名場面が主題歌と併せ脳裏で再現され、「自分にもあんな超人パワーがあれば」と思った。


脱線し踏切をふさぐJR豊肥線の列車=昨年4月16日朝、阿蘇市
菊池から阿蘇に抜ける山道の路面にできた亀裂。自衛隊の災害派遣車両の後方を慎重に走った=昨年4月16日朝、阿蘇市
木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年に西日本新聞社に入社。筑豊総局、経済部、玉名支局、地域報道センター、八代支局、こどもふれあい本部などを回り、2016年9月、荒尾支局から本社デジタル編集チームに。好きな音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛し続けて」、エゴ・ラッピン「色彩のブルース」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」など。









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