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「逃げ恥」でブレークした麺料理

2017年04月30日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • わが家の食卓に登場した瓦そば。具材が多すぎて、主役の茶そばが埋もれてしまったのはご容赦を。瓦そばを考案したのは川棚温泉旅館の主だった高瀬慎一。味覚のルーツは「元祖瓦そば たかせ川棚本館」(山口県下関市豊浦町)で楽しめる(撮影・木村貴之)

  • 木村貴之(きむら・たかゆき)
    1994年に西日本新聞社に入社。筑豊総局、経済部、玉名支局、地域報道センター、八代支局、こどもふれあい本部などを回り、2016年9月、荒尾支局から本社デジタル編集チームに。好きな音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛し続けて」、エゴ・ラッピン「色彩のブルース」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」など。

 最近、妙にハマっている料理がある。山口県下関市発祥とされる麺料理・瓦そば。下関の親類宅でごちそうになるたびに舌鼓を打ち、自宅でも楽しんでいる。おいしいだけじゃない。発祥のエピソードが面白いし、最近はある事情から「ブレーク中」なのだという。

 熱した瓦の上に茶そばと具材を載せ、温かい麺つゆで食べるが、家庭では瓦ではなくホットプレートやフライパンを使う。具材は甘辛く味付けした細切れ牛肉とネギ、錦糸卵。好みでレモンやもみじおろしも使い、具材ごとそばをつゆに浸して豪快にズズッとやれば、深いうま味が口中で融合。食べるほどに元気が沸く気がして、箸が止まらなくなる。

 瓦そばは下関市豊浦町の川棚温泉で生まれた。豊浦町観光協会によると、温泉旅館の主が1962年に開発。ヒントにしたのは1877(明治10)年の西南戦争だ。熊本城を囲んだ薩摩軍の兵士たちが野戦の合間、肉や野草を瓦で焼いて食べたという話を地元の古老に聞いたのが始まり。宿泊客に提供すると喜ばれ、他の旅館にも広がって温泉街の名物料理に。やがて山口の郷土料理として浸透したという。

 ブレークは昨年秋冬に放送されたテレビドラマがきっかけになった。雇用関係から恋人関係に少しずつ発展する過程を描いたラブコメディー「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系、略称『逃げ恥』)。新垣結衣演じる森山みくりの相手役・津崎平匡(星野源)は、山口出身という設定。全11話のうち第5話で、2人が瓦そばを仲むつまじく食べる場面があったのだ。

 「放送の後、ドラマの視聴者らしい若い人たちが県外から温泉街に殺到。瓦そばを取り扱う飲食店や土産店にはテレビや雑誌の取材も相次ぎ、注目度がさらに高まった。ありがたい」と協会関係者は振り返る。

 実は、私は「逃げ恥」を見逃した口。瓦そばブレークを偉そうに語る資格はないが、親近感を持つのにはわけがある。西日本新聞(当時は筑紫新聞)は西南戦争を機に創刊し、今年は創刊140周年。さらに、わが古里・熊本を象徴する熊本城も戦争の舞台になった。これも何かの縁なのだろう。










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