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「福岡はお笑いの本場」説は本当か 吉本進出から28年 “起業家魂”で挑む若手芸人たち

2017年05月09日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 福岡市内の貸しホールを拠点に活動する福岡吉本の若手芸人たち。ベテラン組も含め吉本芸人は福岡市民の身近な存在になっている

  • 那珂川を周遊する水上観光バスに「一日お笑い船長」として乗船し、報道陣を前にネタを披露する福岡吉本のピン芸人、マサル(中央正面)

  • 先輩コンビ「ぶんぶん丸」(左の2人)に続いて「福岡県済みます芸人」に就任したピン芸人・マサル(右隣)

 福岡で新生活を始めた人は気付くかもしれない。ある職業の人たちを地元メディアや街角でよく目にすることに。それはお笑い芸人。松本人志(ダウンタウン)、田村淳(ロンドンブーツ1号2号)など吉本興業所属のメジャーな芸人も地元民放で番組を持っており、今や福岡は大阪、東京に次ぐ「お笑いの本場」になった、という説もあるほどだ。その真偽を確かめるべく、活躍する芸人の大半が所属する福岡吉本を直撃した。

 ■地元に住み地元ネタで

 春まだ浅い3月。福岡市の繁華街、天神と中洲の間を流れる那珂川に架かる「福博であい橋」の川岸に、一隻の船が停泊している。岸を発着点に川を周遊する水上観光バス「那珂川リバークルーズ」。船上で、福岡吉本のピン芸人、マサル(29)は、報道陣に囲まれていた。マサルが「一日お笑い船長」を務め、観光客を案内する企画のお披露目会なのだ。先輩漫才コンビ「ぶんぶん丸」=山田直樹(34)と池田義之(32)=も乗船していた。

 建設現場の作業員を思わせるヘルメット姿で現れ、船頭に立ったマサル。船が岸を離れると、キャナルシティ博多や中洲のビル街を見渡す船上からの眺めを博多弁で案内し、早速、持ちネタを披露した。

 「博多のおいさんは話が大きくなる。魚釣りの話でも、釣れた魚の大きさは最初こんくらい(両手で示す大きさは約20センチ)やったとに、そのうち『こげん太かった(大きかった)』と両手ば広げて(1メートル以上)言う」
 「博多のおいさんの会話。おっとっととっとってていうとったとに、なんでおっとっととっとってくれんやったと」(「おっとっと」(スナック菓子)を(全部食べず)残しておいてほしいと言ったのに、なぜ「おっとっと」を残してくれなかったの)
 「よそから来た人、分からんやろね」―。今も続ける解体作業のアルバイトをヒントにした物まね芸「博多のおいさん」シリーズは、報道陣の笑いを誘った。

 マサルは生まれも育ちも博多。ぶんぶん丸の2人も福岡県粕屋郡の出身だ。実はこの日、マサルは先輩コンビに続いて「福岡県住みます芸人」に就任した。これは吉本興業の大﨑洋社長の発案で2011年に始まった「あなたの街に住みますプロジェクト」の一環。47都道府県に地元出身芸人を住まわせ、笑いの力で地域活性化を後押ししている。約7000人に上る全国の吉本芸人を「笑いのインフラ」として生かすのが狙いで、吉本興業流の「地方創生」戦略なのだ。

 今回は、同じ福岡都市圏出身のコンビに、博多っ子のマサルを加えたところがミソ。PR効果を増強する戦略が、福岡市の観光振興策とマッチし、市などによる企画にマサルも参画することになった。福岡吉本の芸人について市担当職員は「福岡の魅力を発信する貴重な人材。心強い」と期待する。

 「福岡と聞いて中洲のネオン街を思い浮かべる人が多いと思うけど、おいしい店や観光名所など昼間も見どころは満載。魅力が24時間光る福岡を発信したい」と意気込むマサル。

 船上での芸は続く。「エイショウエ」「ションガネ」の掛け声でのどを披露したのは「博多祝い唄(祝いめでた)」。江戸時代に歌われた「伊勢音頭」を起源とする説もあり、博多では葬儀の場で歌われるケースもあるという特別な唄だ。幼い頃から博多祇園山笠に参加しているという生粋の博多っ子らしく、神妙な表情で歌い上げた。

 かと思うと、次は中洲川端にある行きつけのラーメン店の店主の物まね。ドラムを叩くような動きと表情で、茹で上がった麺を湯切りする。「それって、いったい誰よ?」と突っ込みたくなりつつ、なぜか笑ってしまう。


貸しホールを拠点に地道な活動を続ける福岡吉本の若手芸人たち。お笑いファンらで埋まる客席との距離は驚くほど近い=福岡市・天神のビブレホール
福岡吉本の若手芸人たちのステージを至近距離で楽しむ女性ファンたち。SNSをフル活用してイベント情報を集め、ファンの輪も広げているという
福岡吉本が福岡市・天神で今春開いた公開オーディション。九州内外から18〜25歳の素人芸人8組12人が出場し、観客や審査員を前に自作のネタを次々披露した
公開オーディションで最優秀賞に選ばれた「晩白柚」の2人。吉本興業福岡支社の野中雅弘支社長から直接スカウトされ、福岡吉本入りが決まった
公開オーディションに駆け付けた「ロバート」の馬場裕之(正面左)や「シソンヌ」の2人(右隣)。軽妙なトークで本番直前の会場を盛り上げた
交通事情のため、公開オーディション会場に遅れて到着した「ロバート」の秋山竜次。得意の体ものまねでベテラン俳優・梅宮辰夫になりきり、爆笑を誘った









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