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新作は「コト消費を叫ぶ」 ギンギラ20年の大塚氏に聞く百貨店の復活劇

2017年06月01日 03時00分 更新

記者:吉武和彦


  • ギンギラ太陽’sのメンバーたち。写真右が大塚ムネトさん(撮影・菊地俊哉)

  • 大塚ムネト(おおつか・むねと)氏
    1997年から劇団「ギンギラ太陽's」を主宰。地元福岡を題材とし、擬人化したビルや乗り物が登場するのが特徴。作・演出・かぶりモノ造形・出演のすべてを手がける。福岡県小郡市出身、1965年生まれの52歳。第42回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞、2007年度福岡県文化賞などを受賞(撮影・菊地俊哉)

  • 西鉄バスのバス停たちに一体何が?ラストシーンの稽古は本番さながらの迫力だった

 福岡の百貨店や乗り物のかぶりもので街や企業の歴史やドラマを描いて20年。劇団ギンギラ太陽’sがそんな節目に新作のテーマに選んだのが「コト消費」だ。小売業界で盛んに唱えられる増収策で、インターネット通販が及ばないリアルな体験やサービスが売り物。爆買いブームが一巡した今、「百貨店本来の魅力を取り戻すキーワード」と語る、主宰の大塚ムネトさんに見どころを聞いた。
⇒公演の詳細はこちら

 ■天神が慌てた博多のヒット

 −公演のタイトルは「デパートの中心でコト消費を叫ぶ」(6月5〜6日)。今回、「コト消費」に焦点を当てた理由は。

 「(商業地として)博多が復活した大きなキーワードが『コト消費』だったと思う。(2011年3月にJR博多駅ビルの)『博多シティ』が開業し、ただでさえ駅にスペースを割かれているのに、売り場は物販中心ではなく、イベントステージやゆっくりとくつろげる場所をつくった」

 「当時は『売り場を減らせば、利益が減る』とみられていたが、これが見事にヒットした。慌てたのは(福岡市中心部の)天神地区の商業施設だ。エスカレーターの周りにイスやフリースペースを設けるところも出てきて、大きな影響を与えた。公演では、そんな驚きや、そもそも(博多シティの核店舗の)博多阪急がコト消費を仕掛けたきっかけも描いた」

 −百貨店が変わる潮目になるか。

 「そう思う。でも、新しいようで、実は、懐かしいことでもあると思う。子どものころ、百貨店に行くだけでドキドキ、ワクワクした。屋上に遊園地があったり、レストランでスパゲティナポリタンを食べたり、世界の爬虫(はちゅう)類展なんかもあったりした。昭和の庶民はモノがいっぱいあるだけでワクワクしたけど、今はモノいっぱいが当たり前」

 「そんな中、百貨店はいつの間にか有名ブランドをたくさんそろえ、競い合うようになった。店員もブランド店から派遣され、売り場を広げても、結局はテナントへのフロア貸し。いつしか不動産業のようになって、個性が薄れていった」

 「すると、今度はもう百貨店に行きたい、という客の動機が薄れてくる。物販だけなら、ネット通販で安いモノを探して買おう、となるのは必然だった」


 ■昔と今どちらがドラマに?

 −活動を始めた20年前は福岡三越の進出や博多大丸エルガーラの開業など「第3次天神流通戦争」のさなかだった。

 「1997年。最初にテーマにしたのが、苦戦する岩田屋Zサイド(現本館)だった。ブランド店に頼らず、(自社で仕入れた商品を並べる)自主編集売り場を強化したが、苦戦した。あれから20年。くしくも今、百貨店の魅力を取り戻そうと、各社の中心的な取り組みになっている。Zサイドはちょっと早かったのかもしれない」

 −当時と今とどちらがドラマになるか。

 「うーん。昔は、戦いが見えやすかった。次々に新しい商業施設ができて、天神エリアの競争が激化した。そのうち、郊外のモールができて戦線が広がった。ただ、ネット通販が台頭してからは、戦いが見えにくくなった。リアル店舗は『九州初進出』の店を次々に投入し、カンフル剤を打ってきたが、効果は長続きしない。そのうち、消耗戦に突入した」

 「それはそれでドラマになった。戦いは熱くて、みんな真剣。(物語を書くための)取材をしながらドキドキ、ハラハラが伝わってきた」

 「そして今、コト消費が登場した。昭和のころのワクワク、ドキドキの百貨店を取り戻そうとしている」

 −そんな節目を今回、ドラマとして切り取った?

 「そう。長いトンネルを抜けて、次の局面に行ったと思う。百貨店は都市のテーマパーク。ようやく動き始めた。単なる流行語ではなく、店と街、客をつなぐ役割を担ってほしい。買い物はネットでもいい、と思っていた人たちを、もう一度、街に取り戻す大きなテーマだと思う」

≪今回のあらすじ≫
 博多の復活を目指して誕生した博多シティ。九州初進出の阪急は「売場を減らしてイベントスペースを増やす」という作戦に出た。物販中心の「モノ消費」から、感動や体験を売る「コト消費」への大転換である。ライバル店たちは「売場を減らせば、利益が減るだろう」と予想するが、まさかの売上アップに驚愕するのであった! 「爆買いブーム」が去った今、店たちは「うちもコト消費だ!」と、慌て出す…。

≪公演概要≫
 6月5日(月)、6日(火)のいずれも午後6時半と同8時半、天神劇場(福岡市中央区天神3丁目)。全席自由(オリジナル缶バッジ付き)2500円。未就学児入場不可。









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