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公文書管理、熊本にならえ 廃棄予定2500冊、第三者委が差し止め

2017年06月18日 03時00分 更新

記者:中島邦之


  • 重要な歴史文書が保管された熊本県庁の地下書庫を視察する行政文書等管理委員たち=5月31日


 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る記録の廃棄など国の公文書管理が疑問視される中、2012年施行の公文書管理条例を持つ熊本県では、県当局が廃棄対象とした2514冊の廃棄が差し止められている。条例に基づく第三者委員会が「政策決定過程の説明や将来の政策立案に役立つ可能性がある」などとして廃棄を止めたからだ。識者は「恣意(しい)的な公文書の廃棄を防ぐためにも、他の自治体も熊本方式を見習うべきだ」と指摘する。

 「民主主義の根幹である行政文書が(国では)不存在とされたりしているが、熊本県ではきちんと守っていきたい」。5月31日に熊本県庁で開かれた第三者委員会「行政文書等管理委員会」で、渡邊栄文会長(熊本県立大名誉教授)が呼び掛けた。

 委員会は学識経験者や弁護士ら5人で組織。保存期間(1〜30年)が過ぎて県が廃棄を予定する公文書について、廃棄を認めるかを審査する。「廃棄保留」と判断した文書は廃棄できず保管を続けている。委員会は12〜15年度に、廃棄対象15万1490冊のうち2・2%の3349冊を「廃棄保留」と判断。その後、「同じ文書が他部署で保存されていた」などの理由で835冊の廃棄が決まった。

 県は委員会とは別に、公文書に詳しい九州大記録資料館の三輪宗弘教授から「有識者意見」を聴取。委員会審議の参考にしてもらっている。三輪教授が「廃棄保留」とした文書が、委員会でも「保留」になっているという。

 三輪教授は、廃棄を止める基準として(1)県の意思決定過程が分かったり、歴史的価値がある(2)将来の県の施策の参考になる(3)農林水産業などのまとまったデータ−などを挙げる。

 総務省の15年の調査で、公文書管理条例を制定する都道府県は5県。九州では熊本県だけだ。文書廃棄に外部の視点を反映させている点以外にも、熊本県条例が評価される理由はある。市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は「政策決定プロセスを検証できるよう、職員に文書の作成義務を定めている。都合の悪い文書を残さなかったり、職員の個人メモと主張して情報公開を逃れたりすることを防ぐ県民への約束になる」と語る。

 課題もある。約2500冊の廃棄保留文書を今後、重要な歴史文書として知事に移管するか、廃棄するかを決めなければならない。熊本県県政情報文書課は「増え続ける膨大な公文書の廃棄、保存を選別する基準作りが急務。本年度中に作成したい」としている。

 県民への説明責任果たす

 三輪宗弘教授の話 行政機関の意思決定プロセスや事業実績などを示す公文書を選別して残すことは、県民への説明責任を果たし、県職員の職務責任を明確化することにつながる。熊本県の先進的な条例が全国に広がってほしい。そのためには、今後も生まれ続ける公文書の廃棄と保存を、客観的に効率よく仕分けできる基準作りが鍵になる。










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