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新戦略は「ハチ」と「コメ」 岩田屋三越が挑む「百貨店×農業」の収穫は?

2017年07月12日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 炎天下、防護服の蒸し暑さに耐えながら丁寧にミツバチの世話をする「福岡天神みつばち部」のメンバー

  • 巣箱の手入れを終えた大隈早弥可さん(左)と北川夏帆さん。「天神で作る特別な蜂蜜。真心を込めてお届けしたい」

  • 大小の島々が浮かぶ伊万里湾を一望し、千枚超の棚田が広がる絶景で観光名所になっている「大浦の棚田」

  • 炎天下に棚田の狭いあぜに腰をかがめ、蒸し暑さと闘いながら草取り作業に精を出す岩田屋三越の社員ら


 なぜ都市養蜂なのか。岩田屋三越によると、都市部の蜜源は農村部に比べると農薬や天敵の影響が少なく、「ミツバチにも人間にもリスクが小さい」(広報担当)。さらに天神の緑地は桜やハナミズキ、アカシア、ツツジ、サルスベリ…と蜜源が豊かだという。担当者は「天神の味覚が詰まった蜂蜜に仕上がりそう」と期待する。

 巣箱にたまった蜜は定期的に回収する。屋上に遠心分離機を持ち込み、その場で蜜を搾り取る「採蜜」。濃い褐色の蜜をタンクに入れると、淡い飴色で透明な蜜に変わる。これまで4回の採蜜で約200キロを回収。「福岡天神はちみつ」として10月上旬に福岡三越で発売する計画だ。蜂蜜を生かしたスイーツやパンなども開発するという。


 ■観光名所の棚田で草刈り

 一方、天神から西へ60キロ余り離れた佐賀県唐津市肥前町。約40の島々が浮かぶ伊万里湾が一望でき、千枚を超す棚田が広がる。ここ「大浦の棚田」(約30ヘクタール)は、1999年に「日本の棚田百選」に選ばれた地元屈指の観光名所。岩田屋三越のコメ作りの現場はその一角にある。

 6月、別の日の昼前。最上部付近の棚田に、作業する男性6人の姿があった。うち5人は蛍光色や迷彩柄などのスポーツウエア姿。頭にはバンダナや野球帽、手には軍手ではなく、カラフルなスポーツ用手袋…。農村の田園風景と釣り合わない都会的な雰囲気が漂う。

 この5人は岩田屋本店と福岡三越の食品担当バイヤーと食品売り場の社員。JAからつの職員1人を交え、狭いあぜ道や棚田の石垣で、草刈りをしていたところだった。腰をかがめ、手鎌で草を刈り取り、ゆっくり進む。帽子もシャツも汗でびしょぬれだ。

 これは「岩田屋三越ファーム」と銘打った社内プロジェクト。食品担当社員ら約40人が参加している。地元農家から借りた棚田6枚(約3千平方メートル)に、JAからつの協力を得て早場米「上場コシヒカリ」を栽培。4月下旬に田植え、8月中旬に収穫するまで2週間に1度の草刈りを行う。1トンの収穫を見込んでおり、9月上旬、2店の店頭で販売する予定だ。

 休憩時間。近くのおばちゃんから差し入れが届いた。レジ袋いっぱいのビワに、5人は「生き返る〜。水分も糖分も適度に補給。スポーツドリンクよりいいかも」。



福岡三越屋上でミツバチの世話をする社員ら。養蜂技術は蜂蜜専門店「ラベイユ」のスタッフ(右)が指導している
福岡三越屋上の養蜂場で、巣箱の巣板に群がるミツバチ。防護服姿で間近に眺めると、その“働き者ぶり”がよく分かる
福岡市・天神の警固公園の花壇に咲く色とりどりの花。福岡三越(奥)のミツバチの貴重な蜜源になっているかもしれない
炎天下、防護服の蒸し暑さに耐えながら丁寧にミツバチの世話をする「福岡天神みつばち部」のメンバー
巣箱の手入れを終えた大隈早弥可さん(左)と北川夏帆さん。「天神で作る特別な蜂蜜。真心を込めてお届けしたい」
大小の島々が浮かぶ伊万里湾を一望し、千枚超の棚田が広がる絶景で観光名所になっている「大浦の棚田」
炎天下に棚田の狭いあぜに腰をかがめ、蒸し暑さと闘いながら草取り作業に精を出す岩田屋三越の社員ら
近所の農家が社員らに届けたビワの差し入れ。レジ袋いっぱいに詰められ、甘い香りがあふれていた
休憩時間、差し入れのビワにかじりつく社員ら。草刈り作業で汗だくになり乾いたのどを、みずみずしい甘みが潤す
巻き尺を取り出し、苗の丈を測る石松瑞樹さん。「すごい。もう60センチまで育ってる!」
「大浦の棚田」で収穫されたコメは9月上旬、岩田屋本店(写真)と福岡三越で販売される









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