ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

福岡スタイル

一覧ページへ

新戦略は「ハチ」と「コメ」 岩田屋三越が挑む「百貨店×農業」の収穫は?

2017年07月12日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 近所の農家が社員らに届けたビワの差し入れ。レジ袋いっぱいに詰められ、甘い香りがあふれていた

  • 休憩時間、差し入れのビワにかじりつく社員ら。草刈り作業で汗だくになり乾いたのどを、みずみずしい甘みが潤す

  • 巻き尺を取り出し、苗の丈を測る石松瑞樹さん。「すごい。もう60センチまで育ってる!」

  • 「大浦の棚田」で収穫されたコメは9月上旬、岩田屋本店(写真)と福岡三越で販売される


 プロジェクト責任者のバイヤー石松瑞樹さん(41)は、苗に巻き尺を当て、つぶやいた。「すごい。前回20センチ足らずだったけど、もう60センチに伸びた。丁寧に手入れすれば必ずおいしいコメができる。収穫が楽しみ」

 ■生産者として商品価値を発信

 養蜂は、1997年10月の福岡三越開店から20周年を迎えるに当たっての記念事業。コメ作りは昨年の岩田屋本店開業80年も踏まえ、2017年の新しい試みとして企画した。

 農業を記念事業に選んだのは、ネットの電子商取引(EC)、とりわけ小売市場で台頭するネット通販への警戒感が見え隠れする。

 経済産業省の「2016年電子商取引に関する市場調査」によると、消費者向けEC市場の規模は前年比9・9%増の15兆1358億円。物販に限ると8兆円余で、前年を10・4%上回った。ECの浸透度合いを示すEC化率は5・43%。EC化率は米国で約7%、中国で15%超あり、経産省は「日本ではまだ飽和状態に至っていない」とみる。

 岩田屋三越のあるバイヤーは「百貨店は“ショールーム”化している」と嘆く。百貨店で気になる商品をチェックし、より安いサイトを探して買うという消費者の行動が進んでいるというのだ。

 スマートフォンが普及する中、消費者の情報収集力は格段にアップ。「だからこそ百貨店は原点に返り、商品の価値を正しく発信する時だ。なぜおいしいコメや蜂蜜が出来るのか。商品の生産や製造のプロセスを含むストーリーを伝えたい」。そのために、自らが「生産者」となる農業体験は貴重なのだという。

 岩田屋の社是は「誠実奉仕」「良品正価」。三越は江戸時代の1673年、伊勢商人の三井高利が江戸に開業した呉服店「越後屋」がルーツ。世界で初めて「正札販売」を実施した店だ。つまり良いモノを誠実に堂々と販売する源流がある。

 「百貨店×農業」は何を生み出すのか。都市の緑化推進、後継者不足にあえぐ農村の支援―。「地域貢献」も掲げつつ、新戦略で目指すのは「より深みのある接客」(広報担当)。それはモノの価値を正しく、熱く語り、百貨店の存在感をあらためて強調する「モノ語り」なのかもしれない。

 ⇒【特典】岩田屋三越の「百貨店×農業」 各責任者に聞く

福岡三越屋上でミツバチの世話をする社員ら。養蜂技術は蜂蜜専門店「ラベイユ」のスタッフ(右)が指導している
福岡三越屋上の養蜂場で、巣箱の巣板に群がるミツバチ。防護服姿で間近に眺めると、その“働き者ぶり”がよく分かる
福岡市・天神の警固公園の花壇に咲く色とりどりの花。福岡三越(奥)のミツバチの貴重な蜜源になっているかもしれない
炎天下、防護服の蒸し暑さに耐えながら丁寧にミツバチの世話をする「福岡天神みつばち部」のメンバー
巣箱の手入れを終えた大隈早弥可さん(左)と北川夏帆さん。「天神で作る特別な蜂蜜。真心を込めてお届けしたい」
大小の島々が浮かぶ伊万里湾を一望し、千枚超の棚田が広がる絶景で観光名所になっている「大浦の棚田」
炎天下に棚田の狭いあぜに腰をかがめ、蒸し暑さと闘いながら草取り作業に精を出す岩田屋三越の社員ら
近所の農家が社員らに届けたビワの差し入れ。レジ袋いっぱいに詰められ、甘い香りがあふれていた
休憩時間、差し入れのビワにかじりつく社員ら。草刈り作業で汗だくになり乾いたのどを、みずみずしい甘みが潤す
巻き尺を取り出し、苗の丈を測る石松瑞樹さん。「すごい。もう60センチまで育ってる!」
「大浦の棚田」で収穫されたコメは9月上旬、岩田屋本店(写真)と福岡三越で販売される









特集 qレポートの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事