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「一村一品」世界が継ぐ 平松守彦さん死去1年、大分市でセミナー

2017年08月13日 03時00分 更新

記者:山口信一


  • 「一村一品特別セミナー」で、中国人講師の話を聞く高校生

  • セミナー会場に展示されたエルサルバドルの「一村一品」と、紹介する冊子

 大分県知事を6期24年務め、「一村一品運動」を提唱した平松守彦さん=享年(92)=が亡くなり、8月21日で1年。運動の普及に取り組む任意団体「国際一村一品交流協会」(大分市)は、高校・大学生を対象に特別セミナーを開いた。地域おこしの手法として注目され、世界に広がった一村一品運動。平松さんの知事退任からすでに14年、当時を知らない若者の目にはどう映ったか。

 夏休み初日の7月21日、大分市のホルトホール大分で開かれたセミナー。満席の約200人が訪れ、高校生が8割ほどを占めた。

 世界で一村一品運動を研究・実践する4人が登壇。このうち、中国・上海大の社会発展研究院特任研究員、王祝さんは、一村一品の手法が上海市の産業構造改革に採用され、「一(工)場一品」「一区一品」として成功を収めた事例を報告。「平松先生は中国に最も影響を与えた外国人」とたたえた。

 中米・エルサルバドルで国際協力機構(JICA)専門家として活動する内河友規さんは「大分といえばカボス、麦焼酎、関サバ…。行ったらぜひ食べたい。そのイメージを植え付けたのが一村一品のすごいところ」と指摘。同国も産品開発や観光資源発掘を進めており、「エルサルバドルといえばこれ、というものを作りたい」と力を込めた。

   ■    ■

 平松さんは1979年に知事に就任し、モモやクリの栽培を軸に独自の農村づくりを目指した旧大山町(現日田市)や、全国屈指の温泉地になった旧湯布院町(現由布市)をモデルに、一村一品運動を提唱。麦焼酎、関アジ・関サバといった産品を全国ブランドに押し上げた。

 セミナーで、大分舞鶴高3年の廣田七海さん(18)は「自分の村には何もないと思っている地域ではどうしますか」と質問。元JICA専門家の松島恭範さんは、「何もない」旧荻町(現竹田市)の住民が特産のトマトで高品質のケチャップを作り、全国に知られるようになった例を挙げ、「大分にはそういう具体例があり、私たちが世界で活動する力になる」と答えた。

 同高3年の長根千尋さん(17)は「一村一品の精神を継ぐため、高校生は具体的に何ができますか」。王さんは、中国の農村数十万カ所のうち、一村一品のモデルに指定されたのは約千カ所にとどまると紹介。「中国にも課題はたくさんある。一村一品の古里のみなさんが何をやるか。これから一緒に考え、結論を出してゆきましょう」と述べ、拍手を浴びた。

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 JICAによると、一村一品運動は「One Village One Product(OVOP)」として東南アジア、中南米、アフリカなどに広がる。現在、日本から指導員を受け入れているのはタイ、ケニア、コロンビアなど9カ国。日本に研修生を派遣しているのは35カ国。戦乱に苦しむ中近東諸国も復興の手法として注目する。

 同協会理事長の内田正さん(69)は元県職員。平松さんの秘書を通算9年務め、素顔をよく知る。知事退任後は海外に招かれることも多かった平松さん。視察の最後は必ず現地の若者の手を握り、「できることから実践しなさい。大分でできたのだから、君たちもきっとできる」と激励したという。

 内田さんは「一村一品は人種、政治、宗教を超えて必要とされる理念。大分で生まれたことに誇りを持って広めたい」と話した。










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