ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

気になる経済ニュース

一覧ページへ

福岡人はどれくらい「カタ麺」を食べる? ラーメン店の伝票を調べてみた

2017年08月13日 03時00分 更新

記者:前田倫之


  • 濃厚なスープに肉厚なチャーシューが絶品の「博多らーめん塩原いってつ」の豚骨らーめん

  • こだわりの平ざるで麺をゆでる「博多らーめん塩原いってつ」店主の森下和年さん

  • 麺の細さや種類について説明してくれた「真鍋食品」の真鍋豊社長

「せっかち」な博多っ子を魅了

 「福岡市民のソウルフード」博多ラーメンは多くの店で麺の硬さを選べる。福岡人は中でも、硬い麺を好むと言われる。「バリカタ!」と注文すれば、ほかの硬さでは満足できなくなるほどの魅惑の食感。では実際、どれくらい硬い麺が注文されているのか、探ってみた。

 向かったのは「博多らーめん塩原いってつ」(福岡市南区塩原3丁目)。濃厚なスープがくせになると評判の豚骨ラーメン店だ。

 博多ラーメンの麺の硬さについてネット検索すると、一番硬いという「湯気通し」から「バリ柔(やわ)」まで数種類あり、それぞれゆで時間の目安が載っていた。「そんな分類は素人がやることばい」と一刀両断するのは店主の森下和年さん(60)。「気温、湿度、湯の温度や量、麺の太さ、湯切りの仕方…条件や店によってゆで時間は全然違う」からだ。この道40年で「経験と勘で麺の硬さが分かる」とか。

 同店では「バリカタ」「カタ」「普通」「柔」の4種類を提供。まずは豚骨らーめん(600円)を、1杯目はなじみ深いカタで注文した。ほどよく芯が残った麺にスープがよく絡んでうまい。替え玉(100円)はバリカタ。スープの温度が下がり麺にしみ込みにくくなるため、歯ごたえが一層際立った。さらに人生初の柔を注文。腰がなくそうめんに近い食感で、これはこれでアリか。

 最後は普通−、といきたいところだが、満腹でギブアップした。

 カタくなければ男じゃない

 「客の8割がカタかバリカタですよ」と森下さん。この日の伝票の一部を拝借して数えてみた。ラーメンを頼んだのは60組で替え玉を含めて計97杯。結果は、バリカタ24杯▽カタ56杯▽普通17杯▽柔0杯−。博多の人は硬い麺が好きなのは間違いなさそうだ。

 常連の建設会社経営日野太さん(52)は「カタ麺以外考えられん。ポキポキ音が鳴るくらいでもよか」とバリカタを注文。九州一の繁華街、中洲近くで育ったといい「おやじが屋台でカタを頼みよったけん、おれも幼稚園の頃からずっとそう。柔いのは歯が抜けたっちゃ食わん」ときっぱり。

 妻の澄枝さん(52)は「カタだと小麦の香りが強すぎる」と普通を選んだ。一方、柔を頼む男性に対しては「男らしくないな、と思う」と手厳しい。

 千葉県から福岡市に今年転勤してきた瀬川恭平さん(25)は「何となく」普通を頼んだ。関東は麺の硬さを選べる店はそう多くないといい、「味はそんなに変わらないと思うんだけど…」と不思議そうだ。

   ◇    ◇

 カタ麺文化はなぜ福岡に広がったのだろう。70年近い歴史を持つ製麺所「真鍋食品」(博多区美野島1丁目)の2代目社長・真鍋豊さん(66)に聞いた。

 発端は福岡のラーメン人気に火を付けた長浜エリア(中央区)にある。全国的にも有名な「元祖長浜屋」や「一心亭」が1970年ごろから、ゆで時間を短くして客に早く提供するため、徐々に麺を細くしたとの説があるという。細麺は伸びやすいため、硬めにゆでるのが定着したわけだ。水分を吸いきっていない麺はボリュームが抑えられ、するっと食べられる。せっかちとされる博多っ子に合った食べ方だ。

 どの硬さが一番おいしいのか。真鍋社長は「好みは人それぞれ」と前置きした上で「プロの見方としては普通麺が一番うまい。でも、おれはいつもちょいカタで食べるけどな」。分かっちゃいるけどやめられない−。そんなカタ麺の中毒性が、きょうも博多っ子を引きつけてやまない。










九州経済 ニュースの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事