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「100円居酒屋」100回超え 過疎地の廃校活用、毎月笑い声 大分県国東市の山里

2017年09月14日 03時00分 更新

記者:原田克美


  • 記念撮影に納まり、「100回超え」を祝う朝来地区の住民ら

  • 101回目の居酒屋で料理を楽しむお年寄り。あちらこちらで近況報告や昔話に花が咲いた

  • ずらりと並べられた料理を品定めするお年寄りら

  • 記念イベントで、方言まるだしの講師の話に笑い声を上げる高齢者ら

 大分県国東市安岐町朝来(あさく)地区の山里にある廃校になった小学校校舎に、毎月第2土曜の夜、お年寄りらが集まってくる。地元住民が育てた野菜で作った料理やお酒…。1品、1杯全て100円。社会福祉法人と地域住民が協力して運営する「100円居酒屋」が8年前のスタートから100回目を超えた。関係者は「ここで暮らしたいという人がいる限り続けていきたい」と決意を新たにする。

 国東半島の最高峰・両子山方面に延びる県道沿いにある朝来地区は人口280人、高齢化率は53・2%(8月末)。地区にあった朝来小が2008年に廃校。「学校がなくなると地域が廃れる」と地元住民は有効活用法を模索していた。地区に介護施設をつくる計画があった社会福祉法人「安岐の郷」(同町)に廃校を活用するよう要望。翌09年1月に廃校の校舎内に小規模多機能型居宅介護事業所「朝来サポートセンター」が開設された。

 開設にあたり、同法人が地域住民に困り事や新施設への要望などを聞く中で「この1週間誰とも話していない」という声が複数寄せられた。衝撃を受けた高橋とし子理事長(62)は「高齢者や若者、外からの移住者も集まれる場所をつくれないか」と思案。引退する前の肩書を背負うなどプライドが高く、引きこもりがちになることが多い高齢男性でも、酒があれば足を運んでくれるのではないか。その答えが「居酒屋」だった。

 狙いは的中。廃校の体育館や教室を利用した居酒屋は、オープン当初から100人ほど、多いときでは300人以上集まった。しかし、参加者が増えるにつれ、仕事も抱える介護事業所のスタッフだけでは維持が難しくなってきた。スタートから約1年半がたったころ、地元住民に相談すると二つ返事で加勢を了承。今では49人の「応援隊」が料理の盛りつけや会場準備、野菜の調達などを手伝っている。

 料理の食材となる野菜は毎回地域の農家がお裾分け。足りない肉や魚などは同法人が購入し、毎回10品以上を作っている。ビール類は購入しているが、地域の酒造会社が毎回日本酒を無償提供している。高齢者らは好きなものを選び、体育館や元教室に並ぶテーブルで約2時間、昔話に花を咲かせている。今では、地区人口の3分の1ほどの人が訪れ、ワイワイ、ガヤガヤ。笑いの絶えない憩いの場となった。

   ◇   ◇

 09年5月から100円居酒屋は毎月、休むことなく続き、今年8月に100回目を迎えた。101回目の今月9日、記念式典が廃校の元朝来小体育館であった。高齢者や移住者らは方言による弁論大会で大声で笑い、杵築市のフォークグループのステージでは若い頃を思い出し、手拍子しながら一緒に歌った。その後、お待ちかねの「100円居酒屋」がスタート。約160人が集まった。

 「100回は来たよ。死ぬまで来るけの」と95歳の宇佐元文人さんはつえをついて居酒屋の会場へ。80代女性は「おしゃべりが好きで、この日が来るのが待ち遠しい。元気で長生き。子どもには迷惑をかけたくないからね」とにっこり。赤ら顔の面々の話は尽きず、約900食用意した料理もほとんどなくなった。

 高橋理事長は「いつもより盛況で、とてもうれしい。今ここに住んでいる人は子どもや孫が都会に行っても、故郷を守ろうと頑張っている人たち。今後もここの人に寄り添っていきたい」と話す。

 100円居酒屋は、地域で高齢者を見守る地域包括ケアの先進的な取り組みとして注目され、全国から市町村の視察が相次ぎ、高橋理事長の講演活動も続いている。










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