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福岡のビル街に「捨てガメ」の楽園?

2017年10月15日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • ビル街の小河川で甲羅干しをするミシシッピアカミミガメ。正面から見ると、何となく見えを切る歌舞伎役者のようにも映る?

  • ミシシッピアカミミガメが群れですみ着くビル街の小河川(右)。カメが後ろ脚をピーンと伸ばして甲羅干しをする姿(左・拡大)は何ともかわいらしい=福岡市中央区

 福岡市・天神界隈に気になるスポットがある。マンションやオフィスビルが立ち並ぶ市街地の真ん中を流れる小河川。ここにカメがすみ着いているのだ。日中の干潮時になると、同じ外見のカメが川岸にずらりと並んで甲羅干し。10匹以上はいる。中には後ろ脚をピーンと伸ばして日向ぼっこする個体もいて、眺めるだけでほのぼのとした気分になる。特徴で調べると「ミシシッピアカミミガメ」という外来種で、通称「ミドリガメ」。福岡市に聞くと、元はペットとして飼われていた個体が川にすみ着き、繁殖したものらしい。

 ミドリガメと言えばカメすくい。縁日などで手に入れ、金魚鉢の隅に小石を積んで飼うのが流行した時期がある。現在もペットとして飼われるカメの代表格だ。人気の理由は、鮮やかな緑色の体に、子どもの手のひらサイズという小ささ。しかし、この川のカメにその面影はない。体は黒っぽく、しかもデカい。甲長20センチ超の個体も複数いる。

 アカミミガメの成体だ。体色が緑なのは幼体。意外に早く成体となり、雌は甲長30センチまで成長するらしい。金魚鉢では手狭となり、大きな水槽が必要に。寿命も30年前後。生態を知らないまま飼育に行き詰まり、カメを捨てたり逃がしたりする事例が相次いだ。この川のカメも「捨てガメ」と市は指摘。実は10年ほど前から確認しているという。

 環境省によると、アカミミガメの輸入は1950年代後半に始まった。原産地は名前通り、米国ミシシッピ川。雑食性で、繁殖力が強く、一時は年間100万匹に上ったという大量輸入にも対応できたわけだ。当然、そんな外来種を河川などに放流すれば生態系に影響を及ぼしかねない。ところが、アカミミガメを巡る国の対応は迷走、「アカミミガメ問題」として慎重に議論されている。

 国は、2005年の外来生物法施行に合わせ、アカミミガメの「特定外来生物」指定を検討したが、見送った。理由は二つ。(1)野外での繁殖確認事例は少ない(2)大量に飼育されており、指定により野外への大量遺棄が発生する恐れがある―。指定されると、輸入や販売、飼育、放流が厳しく規制され、違反者に対しては3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金(法人は1億円以下)という厳しい罰則が規定されている。


川岸で身を寄せ合い甲羅干しをするミシシッピアカミミガメの群れ
木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年に西日本新聞社に入社。好きな映画は「椿三十郎」「八つ墓村」「カンフーハッスル」「キックアス」…。愛聴の音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛し続けて」、エゴ・ラッピン「色彩のブルース」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」など。









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