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「バー洋子」に人と食集う 福岡・宗像市で月1回“オープン”

2017年11月04日 03時00分 更新

記者:郷達也


  • 参加者たちが思い思いに交流を深める「バー洋子」。大きな金属製のコメ貯蔵缶(右端)はテーブル代わりだ

  • 参加者に人気のスタンプカード

  • 地元農家が作ったスイートコーンは、生のまま食べる

 仕事帰りの夜、福岡市・天神界隈(かいわい)に繰り出して気に入った飲み屋を探すのが好きだ。福岡県宗像市に月1回オープンするバーがあると聞いた。「バー洋子(ようこ)」という屋号にも引かれるが、客自身が一品料理と酒をそれぞれ持ち寄るスタイルで、お代は無料の“明朗会計”という。一体どんな店なのか。こよいは宗像に遠征だ。

地元料理と酒持ち寄り、異業種交流楽しむ

 午後7時、宗像市大穂(おおぶ)の住宅街の一角。倉庫とおぼしき建物から、にぎやかな声が響く。看板はない。中へ入ると小さい子ども連れも含む男女約20人がビールやワインを手ににぎわっていた(もちろん子どもはジュース)。地元産米や新鮮野菜などを使った料理や地元カフェのケーキがテーブルを彩り、棚にはキープボトルまである。間違いない。バー洋子はここだ。

 「農家や消費者、主婦などあらゆる人がつながる場。それぞれ自慢の食材やアイデアが酒のさかなです」。オーナーの谷口竜平(りょうへい)さん(37)の説明に合点があった。バー洋子は、いわゆる異業種の交流会なのだ。谷口さん所有の農機具倉庫を改装した貸しスペース「むなかたシェアラボ」で毎月第3水曜日に開いている。

 新参者なので、同じテーブルの人たちと乾杯。早速、市内の農家天野淳一さん(31)が作ったスイートコーンを手に取った。何と生だ。かぶりつくと、シャキシャキ感とみずみずしさがたまらない。

 「田舎で価値がないと思っていたモノも、ここでいろんな人の発想を聞いて価値があることに気付かされた」。酒を酌み交わしながら、天野さんがバー洋子の魅力を語った。

       ◆

 ところで気になる洋子ママはというと…。谷口さんの友人で、主婦の中村洋子さん(48)だ。「地域交流の拠点に」との思いで2人は意気投合し、昨秋にスタート。中村さんは「ママ」ではなく、参加者の一人として楽しんでいるという。

 「福島さんからのおにぎりでーす」。場内がざわついた。「絶対、食べた方がいい。すぐなくなりますよ」。常連さんに教えられ、急いで一つ確保した。「う、うまい」。農薬も化学肥料も不使用という米粒は、まさに自然の味そのもの。他の参加者も皆、幸せそうにほお張っていた。

 作ったのは、常連客の市内のコメ農家福島光志(ひとし)さん(32)。「農業者だけで集まるより、人脈ができて広い視野が持てる」。30個ほどが瞬く間になくなった。

 同じく常連の吉武麻子さん(45)は、市内でアレルギー対応の親子カフェを営む。福島さんの農園から取り寄せた米粉で作ったケーキを持ち寄っていた。「旬の野菜の話など農家さんと顔が見える関係で安心感がある。お互いに応援し合っていい循環です」。生産者と消費者の交流が販路拡大につながっているという。

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 口コミで参加者が集まるバー洋子。その評判を聞いた人から「うちでも開いて」と声を掛けられ、谷口さんは宗像市の古民家や酒造会社、天神の商業施設でも同様の持ち寄りスタイルを“出張開店”したこともある。「のれん分け」の動きもあり、大牟田市の会社員櫻井ちはるさん(48)は11月に同市内で姉妹店「バーさくら」を始めるという。「緩く、楽しく、若者も巻き込んで大牟田を元気にする」と意気込む。

 午後10時閉店。デザイナーが本職の谷口さんが手掛けたスタンプカードに押印してもらった。裏には「12スタンプでなにかいいことあるよ」「有効期限はママとオーナーの気分次第」。

 ほろ酔い気分の参加者たちは「また来月」とバーを後にした。デパートの総菜でも喜んで受け入れてくれたバー洋子。次はお薦めの焼酎を持って行こう。










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