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人工林3分の1を自然林に戻す 林業経営難、行政が本腰 国も新税検討

2017年11月18日 03時00分 更新

記者:四宮淳平

 放置されたスギやヒノキの民有林(人工林)の手入れに、国や自治体が本腰を入れ始めた。九州7県は森林環境税を創設し、立地が悪い場所を中心に、手間がかかりにくいブナなどの自然林に戻す事業にも取り組んでいる。国も森林保全に向けた新税導入を検討。全国の人工林(約700万ヘクタール)の3分の1程度を将来的に広葉樹林に戻す構想を描く。

 福岡県は2008〜14年度の調査で、県内の人工林の半分超の6万8千ヘクタールは林道から遠かったり、急斜面で木材の切り出しが困難だったりする地域で、手入れに多額の経費がかかると推定。スギの木材価格はこの15年で約4割下落しており、林業経営が厳しくなっていると推測する。

 うち約4割の約3万ヘクタールは約15年以上も手入れされず、日照不足で下草がほとんど生えていなかったり、表土が流出したりするなど、山腹崩落などを防ぐ機能も低下しているとみている。

 このため県は、この約3万ヘクタールは08年度に導入した森林環境税を利用し、所有者の同意を得て間伐に着手。地上に日光が届くようにして健全な森に育てている。

 さらに11年度からは、一定範囲の樹木を全て伐採する「主伐」を行い、自然に飛んでくる広葉樹の種子の発芽を待つ自然林化も進めている。その後の手入れは不要で、16年度までに160ヘクタール分を終えたという。

 熊本県はさらに進んでいる。所有者などと協定を結び、県内人工林約23万ヘクタールのうち16年度までに1万1200ヘクタールで広葉樹林化を進めた。「経営が厳しかったり、後継者が無関心だったりする人工林を転換している」(森林整備課)という。

 国が検討中の新税の使い道も、荒廃森林の管理を市町村が引き受け、意欲ある林業経営者らに貸して間伐を進めるほか、人工林の広葉樹林への切り替えを想定。林野庁は19年度導入を目指している。

 7月の九州豪雨では、山林の保水力を超える雨が降り、大量の流木が発生。林野庁は「人工林の荒廃との関係性はない」としている。ただ九州の民有林のうち、大半を占めるスギとヒノキの約7割は樹齢40年以上で、九州大大学院の久保田哲也教授(森林保全学)は「傾斜30度以上で、土の層が50センチ程度と薄ければ、樹齢40年以上の木が生えている方が、風雨や地震で崩れやすい」と指摘する。

 行政主導の自然林に戻す方策は「形状が複雑な広葉樹が増えれば、大雨時の減災につながる可能性がある」と評価する。

森林環境税 森林保全や再生のための財源として高知県が2003年度に初めて導入し、現在は37府県に及ぶ。熊本県の「水とみどりの森づくり税」など名称が異なる府県もある。個人県民税などに一律300〜1200円(九州7県は500円)の上乗せ徴収が一般的だが、法人に数百〜数万円を課税する自治体もある。15年度の税収は全国で総額約310億円。福岡県の15年度の税収は13億7300万円。主に荒廃人工林の間伐費に充て、植樹や作業道整備に使う自治体もある。









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