ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

熊本地震

一覧ページへ

修学旅行で震災学習 熊本県が誘致に力 被害市町村とプログラム作成

2017年11月29日 03時00分 更新

記者:古川大二


  • 熊本地震の被害の実情を伝えた学習プログラム=8日、熊本県阿蘇市の阿蘇火山博物館

 熊本県は、昨年4月の熊本地震の教訓を伝える学習プログラムを作り、修学旅行の誘致に乗り出した。今なお残る被災地の傷痕や復旧の歩みを子どもたちの目で確かめてもらい、防災意識の向上に役立ててもらう試みだ。風評被害もあって修学旅行客が激減する中、「逆転の発想」であえて被災地であることを前面に打ち出す。

 亀裂の入った道路、1階がつぶれたアパート…。8日、阿蘇市の阿蘇火山博物館のモニターに被災直後の写真が映し出された。食い入るように見詰めるのは、修学旅行で訪れた東京の高校生約130人。学芸員の豊村克則さん(32)は「自分がどんな災害に遭う可能性があるか、日頃から考えておくことが防災の第一歩になる」と語り掛けた。

 県と阿蘇市が作った学習プログラムの一場面だ。博物館がある阿蘇山上へ向かう道路脇には、各所に地震でえぐられた斜面があり、通行止めの箇所がある。

 県は熊本市や益城町、南阿蘇村、西原村ともプログラムを作成中。被災した熊本城や布田川断層帯を見学するコースなどを想定している。被災体験を伝える語り部も養成予定。8月にはPRチラシを首都圏や関西の学校関係者や旅行会社に配った。

 県内の修学旅行を含む教育旅行の宿泊者は年10万人前後だったが、昨年は3万4584人。約5万人が宿泊していた阿蘇地域も2532人に落ち込んだ。市観光協会は「宿泊業にとって修学旅行は安定した収入源。プログラムが新たな売りになれば」と期待する。

 公益財団法人日本修学旅行協会(東京)によると、東日本大震災の被災自治体は、住民が津波の経験などを語る「震災学習」を実施。担当者は「被災地の実情を見聞きできるのが魅力。震災前より受け入れが増えた地域もある」と言う。

 課題は風評被害の払拭(ふっしょく)だ。原発事故があった福島県の受け入れは、震災前の約6割にとどまる。同県は「放射線の値などを示して安全性を訴えているが、風評被害がなかなか拭えない」。熊本県教育旅行受入(うけいれ)促進協議会も「地震直後に報道されたイメージが強く、保護者に不安の声が強い。学校が熊本行きを提案したが保護者の反対で断念した例もある」と明かす。

 熊本県によると、首都圏などの中学、高校の多くは既に2年後の旅行先を決めており、成果が目に見えるのは2020年以降となる。同県のアドバイザーを務める教育旅行コンサルタントの伊原和彦さんは「東日本大震災以降、修学旅行はかつての平和学習から防災や危機管理を重視する傾向が強まっており、地震は強みになる。実践的な防災対策を伝える内容へとさらに充実させていきたい」と語る。










九州経済 ニュースの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事