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店再建 無人の集落に光 九州豪雨5ヵ月 朝倉・寒水の区長 満生さん 将来考える前線基地に

2017年12月06日 03時00分 更新

記者:古川努


  • 再開した軽食店「満吉」の前で次男の羽威君と手をつなぐ満生直樹さん=2日午後、福岡県朝倉市杷木寒水

 九州豪雨で河川が氾濫し、土砂に覆われた福岡県朝倉市杷木寒水(そうず)の寒水集落は、5カ月がたった今もほぼ無人の状態だ。その集落に、人々が集まり、夜も光をともす店がある。区長の満生(まんしょう)直樹さん(56)が再開させた。「明かりがあれば、みんな戻ってくるかも」。愛着ある集落と人々の暮らしの再生を願い、腹をくくっての一歩だった。

 大分自動車道杷木インターチェンジ近く。土砂を満載したダンプが行き交う細い道のそばで、から揚げやピザが人気の軽食店「満吉」は営業している。

 再開は10月。最初は「誰も来ないかも」と覚悟したが、常連客が顔を出し、ボリュームたっぷりのランチや弁当を求めて復旧工事関係者やボランティアも立ち寄るようになった。さらに、店舗2階は被災した公民館代わりの集会所として提供し、集落の将来を考える前線基地ともなっている。

 あの日、集落は九州豪雨の濁流にすっぽりとのまれ、満生さんの自宅と隣接する店にも流木が突き刺さった。半壊の自宅は、義援金や修繕費の一部を市が負担する応急修理制度を利用し、9月下旬に修繕した。

 困ったのは店の方だった。再建への公的支援は少なく、借入金の利子補給と義援金30万円だけ。8年前の開店資金の返済も終わっていなかった。それでも再建を決断したのは、小学、中学、高校、大学の4人の子を養っていかなければならないという気持ちと、集落再生への区長としての責任感があったからだ。

 集落の夜は暗く、住民の間には、空き巣への不安が広がっていた。「闇は人を不安にさせる。誰かが明かりをともさんと」。安全安心に役立ち、住民も帰りやすくなるのではとの思いもあった。新たに400万円を7年返済で借り入れ、店を造り直した。

 帰宅した住民は、二十数世帯のうち満生家を含む2世帯だけ。「市の復興計画次第」「安全が保障されんと決められん」。店の中の会話も今後のことが多い。それでも満生さんは前を向く。緑豊かで閑静な元の環境を、いつか取り戻せると信じているからだ。

 「心配なのは来年の梅雨だが、ひるんだら負け。地域と家族のため、ここで生きていくと決めたんですから」。豪雨の夜、「こげんときこそ笑え」と励ました次男羽威(はねい)君(10)と店の前で手をつなぎ、満生さんは力を込めた。










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