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「えっ…そんなことをやっていたんですか」と言われる日は、必ず来る

2017年12月17日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 福間慎一(ふくま・しんいち)
    福岡市生まれ。2001年に西日本新聞社に入社、文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。紙面編集にも約4年間従事。16年9月から1年間、ヤフー株式会社に出向、17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。


 伝える技術は大きく変わってきた。でも、「人に話を聞いて書く」という記者のコンテンツ作成の行為そのものには、これまで大きな変化はなかった。

 それが今、AIの台頭で変わろうとしている。

 メディア業界で、導入はどんどん進んでいる。決算短信やスポーツの結果を瞬時に記事化するサービスなど、シンプルで大量なデータがある分野はAIの最も得意とするところだろう。記者が一番恐れる「数字の間違い」を起こすこともない。

 AIではないが、本紙も今年4月、ウェブ上で公開されている福岡市議会の議事録20年分、5万8000件の発言データを分析。20年間一度も取り上げられなかった地名が24もあることを突き止めた。

 さらに分析することで「教育」「都市開発」などのテーマ別の傾向をつかむ取材に応用できる可能性が高まる。もちろん、記者の仕事が機械に完全に置き換わることはない、とは思っているが。

 AIはコンピューターが膨大なデータなどを分析することで自ら学習し、発展的な作業もできる。メディアに限らず、消費者の動向予測や、設備の効率的な維持管理などに活用されていて、福岡市も先日、市内企業のAI活用を推進する官民組織を発足させ、会員企業の募集を始めた。

 技術が急速に進歩する中で、「乗り遅れるな」の大合唱になりつつあるAI。ある法人の幹部は「やらないと、とは思うけど、どうやってやったらいいのか分からない」と焦りを募らせる。

 一方で「そんなものは必要ない」「人間が怠惰になる」という懸念もよく聞く。うん?これは先輩記者の嘉悦さんがワープロを使い始めたときの議論に似ている。

 画期的な新技術は、抵抗を受けながら少しずつ、そしてあるとき一気に浸透するのだろう。余談だが、嘉悦さんを怒ったデスクは、後で「確かに君の言うとおりだった。勉強になったよ」と小さく笑ったという。

 AIについては「人間の存在を脅かす」という危惧もある。そうなるのかならないのか。伝える仕事をする一員としても、まずは知識を身につけるしかない。

 「キーボードをたたいて原稿を入力していた」という話に、「えっ…そんなことをやっていたんですか」と言われる日は、間違いなくやって来る。


西日本新聞社屋上で行われていた伝書バトの訓練
現在は何台ものモニターに囲まれ、ウェブ向けの速報を担当する嘉悦洋さん









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