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「明けない夜はない」 復興願う駅ノート 被災2路線乗り入れる日田・夜明駅 乗客の声、沿線励ます

2017年12月31日 03時00分 更新

記者:小川勝也


  • JR夜明駅の旅ノート。全線復旧を祈る静かなエールが書き込まれている=大分県日田市

  • 旅ノートの書き込みを丁寧に書き写す森山建次さん

 7月の九州豪雨で被災したJR久大線と日田彦山線が乗り入れる夜明駅(大分県日田市)の“旅ノート”に、全国各地から復旧、復興を祈る静かなエールが届いている。明るい未来を予感させる駅名は受験、起業、恋愛など人生の岐路に立つ人々の背中を押してきた。そんな山に囲まれた無人駅が今、多くの励ましに支えられている。書き込む人、読む人。ノートを手に全線復旧の時を待つ。

 ノートは約20年前に置かれたとされ、駅には過去のノートのコピーをとじた分厚いファイルが五つある。何十冊というノートには恋の悩みや家族関係の愚痴、受験祈願、人生を悲観した人が立ち直ったような書き込みもある。

 同市夜明地区に住む森山建次さん(75)は、地元住民らが尽力し、駅に「夜明の鐘」が設置されたのを機に足を運ぶようになりノートの存在を知った。読むために4年前から月に2回ほど通い始め、心に残るメッセージを一字一句、記号まで、持参した自分のノートに書き写している。

 「どんな人が書いたか想像しながら写すんですよ」。ノートの上で全国の旅人と“出会う”。気に入った書き込みを時々、埼玉県に住む次女へ送る。「古里が褒められているよ」と。いつしか、埋まったノートを新調するのも森山さんの役目になった。

 自宅は夜明の隣駅、日田彦山線今山駅近くだが今、列車は来ない。最近、運転免許証を返納した。夜明駅までの交通手段を考える。バスにしようか、自転車か。「こんなとき列車があったらなぁ」

 豪雨後、書き込みは「うんと減った」。めくるページの少なさに、被災の現実を感じる。だが復興を祈るメッセージが絶えることはない。「明けない夜はない」。どこかの誰かが励ましてくれることがうれしい。森山さんは元気な限り書写を続けるつもりだ。

 「ここから分岐した線路が(北九州市の)小倉まで続いていると思うと、わくわくしますね」。熊本市の大学生(22)は今月中旬、ノートにそう書き込んだ。旅好きの宮園さんは豪雨の少し前、同線に乗った。福岡県東峰村の山あいを走る車窓から眺めた棚田風景が忘れられない。豪雨で倒壊した大行司駅の古い駅舎も好きだった。

 被害が63カ所にも上る同線は復旧のめどが立たない。「廃線になるかも…」。不安を胸に沿線の今を見届けようと、宮園さんは代行バスに乗った。思いは森山さんと通じている。「もう一度、あの風景を列車から見たい」










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