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「スイーツ系雑煮」のコンプレックス

2018年01月07日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 元日の朝、わが家の食卓に登場した雑煮は、丸餅に里芋、鶏肉、かつお菜などが入ったすまし汁タイプ。白砂糖を混ぜた納豆に絡めて食べる実家の「スイーツ系雑煮」は…ご想像にお任せします。

  • 農林水産省のホームページに掲載されている「お雑煮文化圏マップ」。おおむね西日本は丸餅、東日本は角餅が使われるといい、その境界線は「糸魚川静岡構造線」とほぼ一致するのも興味深い。

 正月に食べる料理と言えば雑煮。主役となる餅が丸餅だったり四角い切り餅だったり、餅が漬かるだし汁がすまし汁だったりみそ仕立てだったり―。地域や家庭でスタイルが異なる背景を探れば面白そうだが、個人的には腰が引けていた。何となく雑煮にコンプレックスを感じ、目を背けていたような気がするのだ。

 実家は熊本県北部の旧植木町(現・熊本市北区)。正月になると食卓に登場する雑煮が実は苦手だった。昆布とカツオのだし汁で丸餅やゴボウ、大根、椎茸、かまぼこ…を煮込んだすまし汁タイプ。ここまではいい。問題は別の器に盛られた納豆。これに白砂糖を混ぜ、椀から取り出した餅に絡めて食べるのだ。

 これは料理なのかスイーツなのか、幼少期からずっと疑問に思った。甘党の父をまねて白砂糖を大量に混ぜて食べた時期もあったが、すぐに食欲が減退した覚えもある。学生時代、他県出身の友人と雑煮談議をするたびに仰天され、恥ずかしさの余り、ガールフレンドに至っては完全に封印。その後、家族を手間取らせて元旦でもご飯とみそ汁を食べ、雑煮を敬遠するようになった―。

 そんな時期から30年以上過ぎたこの正月、突然、雑煮文化への興味をそそられる場面があった。妻が作ったノーマルなすまし汁タイプの雑煮を撮影したついでに、雑煮についてスマートフォンで調べていたら、面白い資料を発見。香川県には、あん入り丸餅を使ったみそ仕立ての雑煮を食べる風習があるらしいのだ。学生時代の友人なら「納豆&白砂糖付き」に示したリアクションはないかもしれないが、自分としては実家と同じ「スイーツ系」が存在することが分かっただけでも大収穫。味覚とは逆にほろ苦い思いだけが募った思春期の記憶やコンプレックスが、一瞬にして解放された気分になった。


木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年から西日本新聞記者。趣味は釣りとエレキギターの手入れ。好きな映画は「椿三十郎」「八つ墓村」「ナチョ・リブレ」。音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛し続けて」、寺井尚子「ジャズ・ワルツ」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」









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