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連載・日本一早い始発列車(上) 日豊線ひと模様 大切な当たり前の日常

2018年01月15日 03時00分 更新


  • 南行橋と行橋から乗客が増える。スマホを操作したり睡眠を取ったりで車内は静かだ

 午前4時17分に柳ケ浦駅(大分県宇佐市)を出発した、JR日豊線の門司港行き普通列車。全国JR旅客6社で最も出発が早い「日本一早い始発列車」は、20分後には県境を越え福岡県に入った。

 女性(40)は宇島駅(福岡県豊前市)で列車を待った。勤務先のスナックで仕事を終えたばかり。自宅最寄りの行橋駅(同行橋市)まで乗る。午前4時44分。乗車すると、窓際の席に浅く腰掛け、スマートフォンの画面に指を走らせる。

 「今日はお客さん、楽しそうだったね」「明日の予約は誰だっけ?」。メッセージの送り先はママ。インターネットは便利だ。店を出ても打ち合わせができるし、下車する駅までの26分間があっという間になる。

 前は車通勤だったけど、買い替えて納車待ち。列車も悪くない。飲酒運転にならないからお酒が飲めるし、時刻通りに走るし。

 店に定休日はない。自分もほとんど休みは取らない。午前7時台に寝て、同10時ごろに起きる。それから家事をしたり、お客さんにお礼のメールを打ったり。そして午後6時台に出勤する。働きづめの1年はあっという間。今年もそんな生活が続くのだろう。

 「まあ、変わらないのが、いいのかもしれないね」。何も見えない車窓に目をやり、つぶやいてみる。一駅一駅をしっかり進む列車と、自分の日常を重ねた。

    ◇   ◇  

 ジャージー姿。頭はぼーっとして、体は重い。午前5時17分、苅田駅(同苅田町)。九州共立大(北九州市八幡西区)1年の松蔭紗也華さん(19)は、今日も何とか寝坊せず、この列車に乗ることができた。

 2時間後にはバスケットボール部の朝練が始まる。この生活があと3年は続くと思うと、気がめいる。でも、やめるわけにはいかない。「体育教師になりたいなら、サークルより部活に入るべきだよ」。高2のとき、赴任してきた40代女性教諭の一言を思い出す。

 その教諭には、バスケ部と体育の授業でお世話になった。厳しく練習に向き合うこと、運動を楽しむことの両方を大事にしていた。「かっこいい」。当時は何となく、高校を出たら給料がよくて安定した会社に入れればいいな、と思っていた。ぼんやりとしていた人生設計に明確な目標が立った瞬間だった。

 高校時代と変わったのは生活だけじゃない。学費や部費は決して安くはない。「当たり前じゃないんだなぁ。大学に行かせてもらって、ありがたいなぁ」。夢へと一歩踏み出した大学1年目。自分を応援してくれる親の愛情を強く感じる日々でもある。










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