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スペワ「華やかな最期」の陰で 後継施設に期待すること

2018年01月16日 03時00分 更新

記者:井崎圭


  • 最終日、多くの来場者でにぎわったスペースワールド=昨年12月31日、北九州市八幡東区(撮影・古瀬哲裕)

  • 井崎圭(いざき・けい)
    2005年4月入社。約12年の会社生活のうち約8年は北九州管内での勤務。社内の一部から「北九州専属社員」とも呼ばれている。黒崎祇園山笠に参加するなど北九州には馴染みが深い。1児のパパ。

 27年間にわたって営業したテーマパーク「スペースワールド」(北九州市八幡東区、SW)が昨年末、閉園した。

 取材で何度も訪れていた私も昨年12月、プライベートで遊びに行った。絶叫マシンのヴィーナスやザターンに乗り、久しぶりにスリルと興奮を楽しませてもらった。閉園が近づくにつれ、私のように「最後にもう一度」という来場者が増え、待ち時間が200分を超えるアトラクションもあったという。この活況は多くの人がこの場所で大切な時間を過ごし、愛着を持っていた証のように思えた。

 一方で、丸1日を施設の中でゆっくり過ごすと、発見もあった。

 それは施設の各所に「つぎはぎ」や故障が見られ、それらが処置されないままになっていたことだ。例えば、ある施設の天井は穴を粘着テープでふさいであった。月面着陸時の米航空宇宙局(NASA)の設備を紹介するブースでは、設備名称のついたボタンを押せば赤いランプが光るはずだったが、どのボタンも反応しなかった。

 素人目にも更新した方が良さそうな展示物や設備なので、当然ながら施設側は気付いていただろう。それがそのままになっていたのは閉園が決まっていたからか、修理する余裕がなかったからか。いずれにせよ、厳しい運営状況を垣間見た気がした。

 実は、SWの収益を示すデータはあまり公表されていない。手元に唯一ある決算関連の資料によると、2013年度の利益は100万円だったという。あれだけ大きな施設の利益としては少ない。投資に回すような資金は無かったのではないかとみられる。

 SWと同じく1990年代に誕生した九州のテーマパークは苦境に立たされた。ネイブルランド(福岡県大牟田市)は98年に閉園、エイチ・アイ・エス(H.I.S)傘下で復活を果たしたハウステンボス(長崎県佐世保市)も一度は破綻した。

 地方の施設は、東京ディズニーランド(千葉県)などのように豊富な資金をリニューアルに投じることはできない。どんなに人々に愛された施設でも、乏しい資金が集客の低迷を招く悪循環から脱することは難しい。

 現在、地元では閉園後の跡地活用に注目が集まっている。イオンモール(千葉市)が近く土地所有者の新日鉄住金と後継施設の運営者として正式契約する見通しだ。イオン側は今のところ「食や娯楽、文化が融合した新業態の施設を開業する」と表明しているだけで、具体像を示していない。

 ただ、SWからバトンを受け取る後継施設は、人を呼び込み続けるものであってほしい、と願う。それにはやっぱり、相応の「投資」が必要なのである。

 「宇宙」の跡には、どんな未来が描かれるのだろうか。記者としても、住民としても期待している。










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