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国費で玄海原発事故対策に賛否 九電側が5年11億円で受注

2018年01月16日 03時00分 更新

記者:山下真


  • 九電グループ会社も設置業務を受注した馬渡島の原子力災害屋内退避施設=佐賀県唐津市

 今春にも九州電力が再稼働を目指す玄海原発(佐賀県玄海町)周辺の離島を中心に、重大事故に備えた放射線防護施設の整備事業が進んでいる。2013年以降を調べると、九電のグループ会社5社が総事業の2割に当たる約11億5200万円の建設工事や関連事業を受注。一連の事業は国が全額負担し、結果的に電力会社側が事故対策で一定の利益を得る構図となっている。そもそも原発の安全対策は税金で賄うべきなのか、原発事業者が負担すべきか−。識者の見方は分かれている。

 放射線防護施設の整備は、福島の事故を教訓に原子力災害対策特別措置法などに基づく防災計画の支援策として、国が自治体などに補助金を全額交付して進めている。施設は放射性物質を除去するフィルターを備え、機密性の高い窓や扉を使った構造。原発周辺の自治体などが学校の体育館や高齢者施設の改装、専用の建物新設で対応している。荒天のため船で避難できない離島の住民や、寝たきりで即座に動けない高齢者の一時避難を想定している。

 玄海原発周辺では、玄海町、佐賀県唐津市、長崎県平戸市、同県松浦市、同県壱岐市、福岡県糸島市−の6市町と、唐津市の社会福祉法人が計31施設に整備(予定も含む)している。

 西日本新聞は6市町と社会福祉法人に情報公開請求や聞き取りをし、事業の発注状況を調べた。工事や委託業務は13年8月〜17年11月に111件あり、総事業費は計約56億6300万円。このうち、九電のグループ会社である九電工、西日本技術開発、西日本プラント工業の3社と、九電工のグループ会社2社が計27件約11億5200万円の事業を受注していた。九電は「全体の落札額や割合は把握していないが、(入札などでの)公平公正な受注競争の結果だ。これまで培ってきた技術やノウハウを生かし、地域の防災に貢献したい」としている。

 これに対し、災害リスク学が専門の東京女子大の広瀬弘忠名誉教授は「原発事故は人為災害であり、対策は電力会社が担うべきだ。避難施設の整備は国任せという姿勢であれば、原発事業者としての責任を放棄しているのではないか」と疑問を呈する。原発コストに詳しい龍谷大の大島堅一教授も「電力会社が危険な原発事業を進めて、安全対策でもうける図式で、消費者は納得しにくい。誰がどう費用負担するべきか、議論する必要がある」との見方を示した。

 一方、補助金を交付する内閣府の原子力防災担当は「事故が起きてもいないのに、電力会社に対策費を求めるのは難しい。避難対策は国が責任を持って進めている」と説明する。

 「原子力防災」の著書がある元四国電力社員の松野元さんは「国のエネルギー政策に基づき、原発を活用していくのは国策。避難計画の整備は国や自治体が進めている。現行の法律上、電力会社が費用を出す必要はない」と指摘する。

 ただ、避難施設の整備などが原発稼働の条件となる国際基準に反し、日本では原子力規制委員会の定めた新規制基準に避難計画の項目がない点を挙げて「(再稼働容認に)最低限の避難施設を整備する条件を加えれば、国任せでなく、電力会社が負担する枠組みにつながるのではないか」と話した。










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