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「住民が主役」復興支える 区画整理へ大牟田市OBが助っ人

2018年01月18日 15時00分 更新

記者:古川大二


  • 熊本県益城町の任期付き職員として区画整理事業に携わる奥園俊一さん

  • 熊本県益城町では倒壊した家屋のがれきで各所の道路がふさがれ、救援活動などが難航した=2016年4月29日(撮影・岡部拓也)

経験生かし寄り添う

 熊本地震の被災自治体で復興業務に対応する職員の不足が続く中、他市町村からの派遣職員や任期付き職員は貴重な戦力だ。昨年9月から熊本県益城町復興整備課で働く奥園俊一さん(67)は任期付き職員の一人。福岡県大牟田市役所を定年退職後、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市でも復興業務に携わった。地域を歩き、住民の声にじっくり耳を傾ける仕事ぶりは、過去の経験に裏打ちされている。

 「ごめんください」−。17日午後、奥園さんは熊本市の住宅地にいた。益城町と県は復興事業の核として町中心部の区画整理事業を計画しており、県職員と一緒に地権者宅を一軒一軒回っている。自宅を失い町外の「みなし仮設」に住む地権者も訪ねる。

 昔ながらの入り組んだ道を整理して避難路を造ること。次の災害に備えて被災者が身を寄せる広場を確保すること…。事業の狙いを丁寧に説明する。約410人の地権者の話を聞くのも大事な仕事。「早く自宅を再建したい」との声が目立つ。1軒の訪問で1時間を超すこともある。17日は町内外の4軒を回った。

   *    *

 行政マンにとって、区画整理は難しい事業だ。

 大学卒業後の1974年に大牟田市役所に入り、主に都市計画や区画整理の担当課を歩んだ。先祖から受け継ぐ土地への愛着が、今にも増して強かった時代。事業に反対する住民から何度も厳しい言葉を掛けられた。結果を急ぐより「不満を全て吐き出してもらうこと」が大事だと学んだ。

 益城町の区画整理にも反対の声がある。昨年12月、町都市計画審議会は「住民の理解が深まっていない」として町が示した事業区域案を否決した。当初予定よりスケジュールは遅れている。が、焦りは禁物。「復興のまちづくりは、住んでいる人が決めることが大切だ」。東北での経験が、その思いを支えている。

   *    *

 2014年9月、気仙沼市の任期付き職員になり「まちづくり協議会」事務局員として市と住民とをつなぐ役割を任された。当時、津波の被害を受けた沿岸部への防潮堤建設の是非に地元は揺れていた。誰もが人命第一と分かっていても、漁業者たちには「海が見えないと仕事にならない」という切実な現実があった。

 「何回も何回も協議して妥協点を見つけていった」。漁業者にも納得してもらい、建設にこぎ着けた。新たに整備する歩道橋の色ひとつとっても、さまざまな色のシートを示して住民の意見を聞き、方針を決めた。「住民主導の復興の背中を押すこと」が行政マンの役割だと肝に銘じている。

 熊本地震の発生から1年4カ月後の17年8月、気仙沼市での任期を終えると、間髪を入れず益城町へ赴いた。自身の経験を生かしたいとの一念だった。益城町の任期は3年間。もうしばらく大牟田市の自宅に妻を残して単身赴任を続ける。「あくまで町の皆さんのバックアップをするのが自分の役割。体力や意欲が続く限りお役に立てれば」。そう話し、ほほ笑んだ。

被災自治体 応援職員足りない

 熊本地震の発生直後、被災自治体では避難所運営や罹災(りさい)証明書の発行手続きなどで業務量が大幅に増え、全国の自治体が数週間単位で職員を派遣した。熊本県によると短期の応援派遣職員数は延べ約10万人に上った。

 一方、主に1年単位の中長期で派遣された職員数は熊本市や益城町など県内13市町村で129人(昨年12月時点)。最も多いのは土木技術職で57人、次いで一般事務職の39人。ただ、派遣数は13市町村の要望数の6割程度にとどまり、一部の市町村では任期付き職員の採用や、民間業者への業務委託で賄っている。










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