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「たばこの火の貸し借り」をきっかけに

2018年02月04日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 喫煙所で火を貸してくれた男性からそのままもらった使い捨てライター(手前)。愛用のオイル式(右上)を休めつつ、今も使用中。

  • 性格が正反対の男2人の出会いと友情をを描いた映画「スケアクロウ」(DVD)。ジーン・ハックマンとアル・パチーノの熱演が光り、1973年カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを獲得。

 福岡市のとある街角の喫煙所。立ち寄ってたばこを取り出し、オイルライターで火を付けようとしたところ、まさかのオイル切れ。近くで喫煙していた男性に声を掛けて火を借り、礼を言って返そうとすると、男性は「よかったら使ってください。職場にいくつもあるので」。ライターを受け取らないまま、その場を立ち去った。

 ライターは、ガスがたっぷり残った使い捨て式。表面には「プレゼント」と書かれた小さなシールが貼ってある。コンビニなどでたばこを1カートン買えばもらえる「おまけ」だったかもしれないが、そんなことはどうでもいい。1月、全国的な寒波に見舞われた日。妙にほっこりした気分になり、吸い終わった後、もう1本くわえて火を付けた。

 たばこの火の貸し借りで思い出す映画の一場面がある。1973年公開の米映画「スケアクロウ」。暴行傷害罪で6年服役し、刑期を終えたばかりのマックス(ジーン・ハックマン)と、自分の子どもに初めて会うため5年ぶりの家路につく元船乗りのライオン(アル・パチーノ)。2人が荒野で出会い、旅をしながら友情を深めるきっかけになったのは、オイル切れのライターに代わって葉巻に火を付けた、残り1本の紙マッチだった。
 
 映画の舞台と重ねるのはオーバーかもしれないが、今や喫煙所は「荒野」に近いものがある。屋内外を問わず嫌煙者に配慮して片隅に追いやられ、肩身の狭い思いをして一服せざるを得ないご時世。さらに最近の喫煙者は煙や灰が出ない「加熱式たばこ」に紙巻きから乗り換え、ライターを持たなくなった人が増えた。それだけに今回、同じ紙巻き派からの計らいは格別にありがたかったわけだ。


木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年から西日本新聞記者。趣味は釣りとエレキギターの手入れ。好きな映画は「椿三十郎」「八つ墓村」「ナチョ・リブレ」。音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛し続けて」、寺井尚子「ジャズ・ワルツ」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」









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