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「よそ者」が見た福岡の強さと課題 まちビジネス事業家・木下斉さん

2018年02月16日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 西鉄福岡駅と岩田屋(中央)。渡辺通りには路面電車。向こうは博多湾=1955年ごろ、福岡市・天神の西日本新聞社屋上から

  • 福岡市の街並み(2014年3月撮影)


▽実業家で西鉄の源流となった博多電気軌道を創業した渡辺興八郎氏
▽明治から昭和にかけて発送電事業で名を成した実業家の松永安左エ門氏
▽西日本シティ銀行の源流の一つとなる福岡無尽を設立した四島一二三氏
▽めんたいこの「ふくや」を創業した川原俊夫氏
▽アジアに開かれたまちづくりを先導した元市長の進藤一馬氏

 福岡の先人たちを見ると「よくあの時代にそこまでやったな」と思います。だから今の福岡も、50年後、100年後の人たちに「よくあのとき、そこまで考えていたね」と言わせないといけない。

 こうした個性が今の福岡の強さを作ったと指摘する木下さん。タイトルには「地方最強の都市になった理由」。つまり将来もそうであるか、についてはむしろ懐疑的な視線を投げかけている。

 かつて福岡で描かれた絵は、電力や鉄道など、きわめて大きなものでした。そしてその大きな絵を、民間の力で実現していった。ただ、今、次を見据えるとどうか。「天神ビッグバン」のような再開発施策は、(街の機能の)リソースの再配置ほどのインパクトはなく、もしかすると、あまり大きな切り札にはならないかもしれません。

 つまり、著書の話はあくまで「(最強の都市に)なった理由」。過去の話なのである。今、福岡市は将来に向けて種をまくことができているのだろうか。「よそ者」である木下さんの目にはどう見えているのか。

 福岡市の人口が伸びても、九州自体が沈下していけば意味がない。スタートアップ(への支援)は大事だと思いますが、それだけではインパクトは限定的。やはり本丸は、今ある福岡の「でかい会社」です。そのでかい会社が50年後、100年後の街をどう考えるかこそが大事です。

 では、木下さんが考える福岡の「次の一手」、具体的には何なのか。

 大学の競争力アップと都市の多国籍化は必須です。そのためにはアジアとの関係が不可欠。例えば港湾部(の開発)を多国籍のチームでやることを試行してもいいのではないでしょうか。国際的な街になるには、さまざまな考え方を理解しながら街づくりをしなければならない。アジアの中心を狙っているのはシンガポールや香港。シンガポールのマリーナベイサンズも複合国籍のチームが取り組みました。まだ、そういう自治体は日本にはありません。

 急激な状況の悪化には、企業も個人も必死で対策を取る。本当に怖いのは「ゆるやかな悪化」だ。見えづらい危機を、どこまで意識できるか――。

 人口が増えている今はまだ、福岡にアドバンテージがあります。ただ人口ボーナス期が終わる2035年ごろまでの間に、街をさらに伸ばすための枠組み変換をやっていかないと、厳しくなるかもしれない。都市の縮小均衡にならないように、次の柱をいつ、どのような形で建てるのか。今こそ、市と民間を含めて若い人がそういう議論ができればいいなと思いますね。

 他都市を追う立場から、今や「日本一元気な地方都市」の追われる立場として他都市から注目を集める福岡市。「よそ者」の視点から、学ぶものは少なくない。


「福岡が最強の地方都市になった理由」(PHP研究所)は四六判、304ページ。価格は1600円(税別)。
「福岡は各地から人が集まるが、居住期間は10年未満の人口が半数。街の良さがどう形成されたかは知られていない。先人の努力によるものだと感じてほしい」と話す木下斉さん
明治末期の西中洲電車通り=1910(明治43)年、福岡市









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