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経営重視で減便押し切る JR九州ダイヤ改正 「地域の足」に人口減の波 路線維持道筋どう描く

2018年02月17日 03時00分 更新

記者:岡部由佳里、久保田かおり、河野賢治、後藤薫平、金子晋輔


  • ダイヤ改正見直しを発表するJR九州の古宮洋二常務鉄道事業本部長=16日、福岡市(撮影・具志堅聡)


 1日当たり117本の大幅減便を盛り込んだJR九州のダイヤ改正。自治体などからの強い批判にもかかわらず見直しは微修正にとどまり、当初計画のまま押し切った。自治体側の不信感は根強く「地域の足」を担う鉄道事業者として課題を残した。一方で人口減少が進む中、赤字ローカル線の維持へ向けた道筋は不透明。鉄路の未来をどう描くのか、九州でも議論は避けられない。

 「ネットワーク維持のため、輸送力と実際の利用状況の乖離(かいり)を適正化することが会社の使命だ」

 JR九州の古宮洋二常務鉄道事業本部長は16日の会見で、ダイヤ改正の狙いを改めて強調した。

 国鉄の分割・民営化による会社発足後、運行本数増や観光列車投入で利用拡大を目指す一方、駅の無人化など効率化を進めてきたが鉄道事業は赤字のまま。事業の多角化で収益は拡大したが、株式上場後は株主らの厳しい目にさらされた。

 1年かけて検討した改正だったが、沿線自治体は猛反発。事前協議がなかったことにも不満を募らせた。国土交通省から「柔軟に対応してほしい」(幹部)と水面下で促されたこともあった。古宮常務は「沿線自治体に事前にお伝えしたら良かった。今後も地元とは話をしていく」と述べたが、大幅見直しに踏み込む姿勢は見せなかった。

    ■   ■

 人口減少や道路網の充実など、地方の鉄道を取り巻く環境は厳しい。

 JR北海道は2016年11月、同社単独では維持困難とする10路線13区間を公表。うち3区間でバスなどに転換する方針だ。JR西日本も地元自治体と5年に及ぶ協議を経て、輸送密度(1キロ当たりの1日の平均通過人員)がJR6社で最低だった三江線を今年3月で廃止する。

 鉄道のあるべき姿を考える取り組みを進めるのはJR四国だ。四国4県のほか経済界代表や有識者らと昨夏、懇談会を設立。利用促進策や、鉄道施設を自治体に譲渡しJRが運行を担う「上下分離方式」の可能性などを検討する。

 同社の担当者は「路線維持が困難になったら即『廃線』ではなく、より良い解決策を見いだしたい。地域が一体となって取り組むほかない」と語る。

 JR九州は昨年7月、輸送密度を初めて公表した。廃線ありきではないとするが、沿線自治体では将来への不安が広がる。昨夏の台風で被災した日田彦山線も復旧のめどが立たないままだ。

 国交省幹部は「JR九州の今回の(ダイヤ改正に関する)対応は丁寧さを欠いていた。今後は地元の自治体とよく連携して、鉄道を含めた地域に見合った公共交通のあり方を模索してほしい」と注文する。

   ◇   ◇

生活に影響懸念 沿線自治体 

 JR九州が発表したダイヤ改正の「微修正」に、見直しを求めてきた沿線自治体からは批判の声とともに、今後の市民生活への影響を懸念する声が聞かれた。

 「吉都線で平日の最終列車の維持は評価するが、思いがほとんど伝わらなかった」。当初計画発表後、5回にわたって同社に見直しを求めてきた宮崎県の小倉佳彦総合交通課長はいらだちを隠さない。同県は新年度予算案に例年の倍の鉄道利用促進関連費を計上するなど、路線維持の努力を続ける。今回の県への説明は「事実上の通告だった」と不信感はあるが、今後は「地元の利用促進議論にJRを取り込む必要がある」と対策に頭を巡らせた。

 大分県日田市は今月初旬、上下6本の減便が決まった久大線の日田−豊後森間で乗降調査を実施した。午後7時台の1本で部活動帰りの高校生を中心に41人が利用していた。「通学への影響が大きいことが判明した」とし、市は民間バス事業者とも協議して、今後の地域交通網の再編を検討する考えだ。

 日豊線の津久見駅を発着する6本が減便される同県津久見市は「容認できないが、受け止めざるを得ない」。離島フェリーと接続する列車もあり、通院など生活の足への影響は避けられないとみている。

 肥薩線の吉松−隼人間の4本減便の影響を受ける鹿児島県湧水町。町内に高校はなく、高校生約230人のうち約8割は肥薩線を利用して町外に通学する。町は「人口減少に拍車が掛かりかねない」と苦悩する。

 吉都線の沿線でもある同町と他の沿線4市町でつくる協議会は、小学生の利用を促す運賃助成制度を昨年導入、約1400人が利用する。それでも町の福吉康祐企画課長は「吉都線に肥薩線も交えて、広域で利用促進に取り組まないとじり貧だ」と危機感をあらわにした。










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