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【あなたの特命取材班】DV 情報知られる恐怖 子の戸籍閲覧、 加害者も可能 SNS普及 避難先特定の恐れ

2018年03月04日 03時00分 更新

記者:久知邦


 「加害者に結婚相手の情報が知られてしまう…。これって制度の欠陥じゃないですか」。ドメスティックバイオレンス(DV)の被害に遭ったという30代の女性から特命取材班に連絡があった。DVを巡る悲惨な事件が後を絶たない中、個人情報を加害者に知られることへの不安は根強い。背景を調べると、制度の「盲点」が浮かんできた。

 交際していた男性から日常的に暴力を受け、「逃げたら家族を殺す」と脅されていたという女性。男性が別の事件を起こして逮捕されたことで避難できたが、既に男性の子を妊娠していた。養育費への不安などから胎児認知を求め、出産後は自身の戸籍に入れた。

 それから数年。新しいパートナーと出会い、新たに子どもをもうけた。結婚しようと思っていたが…。

 女性は役所で取得した自身の戸籍の全部事項証明書を記者に示した。自身の本籍地や両親の名前のほか、加害者との間に生まれた子ども、現在のパートナーとの子どもの出生日や出生地が記載されている。パートナーと入籍すれば、さらに「配偶者の氏名」や婚姻届を受理した自治体名などが記載されることになる。

 「これと同じ物を加害者も取得できると役所で言われて…。怖くて結婚できない」。「父親」を知られることを恐れ、パートナーに子どもを認知してもらうこともできないという。

      ■

 DVや虐待被害者への支援措置として、行政は住民基本台帳法などに基づき、現住所が分かる住民票などの閲覧や交付に制限をかけている。もっとも、現住所が記載されない戸籍謄本は対象外。戸籍法では、直系の血のつながりがある者は理由なく請求できるため、加害者であってもわが子の戸籍謄本を簡単に取得できる。母親と子どもが同一戸籍にある場合、避難後の婚姻の情報なども知ることができるというわけだ。

 「住所が分かるわけではないので身の危険はないはず」と法務省の担当者。確かに、どこにでも定めることができる本籍地から居場所を特定するのは難しいが、配偶者の名前や、その間に生まれた子どもの情報があればどうだろうか。

 加害者になったつもりで女性のパートナーの名前をインターネットで検索してみた。すると、顔写真や職歴、出身地、現住所が類推される情報を簡単に得ることができた。

 こうした懸念は、2008年の戸籍法改正を巡る議論でも指摘された。DV被害を想定し、戸籍謄本を理由なく請求できる対象を「本人」に限るべきだという意見もあったが、親や子、配偶者などは「理由なく取れるというのが社会通念上、日本社会のあり方として適当」という声が多く、採用されなかった。

 それから10年。ネットや会員制交流サイト(SNS)の急速な普及で、戸籍に記載された情報から居場所が特定される危険性は高まっているといえる。

 戸籍法には、血のつながりがある者からの請求でも「不当な目的が明らか」である場合、行政側は拒否できるという規定もある。ただ、ある役所の担当者は「『子どもの戸籍から元妻の居場所を探りたい』とでも言われなければ、拒否は難しい」と打ち明ける。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)は「DVの支援措置がかかっているケースで加害者が子どもの戸籍謄本を請求した場合、相続など正当な理由が証明できないときは窓口で拒むように、法務省が通達を出すべきだ」と指摘する。










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