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原発頼みの九電経営改善 4基稼働で年2000億円節減 「電力の安定供給もう関係ない」

2018年03月20日 03時00分 更新

記者:石田剛、吉武和彦



 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)が再稼働すると、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と合わせ4基の原発が通常運転に戻る。節電の浸透などもあり電力需要が増えない中、再稼働を進めるのはなぜか−。九電にとって原発は、供給力確保よりも経営改善の“切り札”としての重みを増している。

 九電の2016年度の販売電力量は786億キロワット時。3年連続で減少した。東京電力福島第1原発事故前の10年度と比べると、10・2%少ない。福島事故以降、節電や再生可能エネルギーの活用が広がり電力需要は抑制傾向にある。九電の供給力も15年の川内原発1、2号機再稼働で余裕が生じ、福島事故後自粛していたオール電化の営業を16年に再開した。

 玄海3、4号機の再稼働を目指す理由について、瓜生道明社長は日本のエネルギー自給率の低さや再エネの出力が不安定な点を挙げ「それぞれの発電方式のいいところを組み合わせ、供給を賄う仕組みが重要」と説明する。だが、ある幹部は断言する。「もう電力の安定供給はあまり関係ない。経営をどう立て直すかという観点で、原発を一生懸命動かそうとしている」

    ※   ※

 電力会社は原発停止後、安定供給に向け石油や液化天然ガス(LNG)火力発電の比率を高めたため、燃料費負担が増して経営が悪化。福島事故前、発電量の40%以上を原発で賄っていた九電も大打撃を受けた。11〜15年度の5年間で純資産は約60%減り、逆に有利子負債は約53%増えた。

 九電によると玄海3、4号機が再稼働すると燃料費負担は1カ月で1基約45億円減少。川内1、2号機と合わせ4基が動くと年間約2040億円が浮くという。

 福島事故を踏まえて施行された新規制基準で、原発には追加の安全対策が何重にも求められるようになった。九電が投じる事業費は川内と玄海を合わせて九千数百億円。「原発を新設するより高い」(関係者)金額だが、燃料費削減効果を単純に積み上げると、5年程度で回収できる計算だ。

 電力の小売り全面自由化で競争が激化する中、「電力販売そのものの採算性が悪化している」との危機感は強い。「原発は動かなければ負債が膨らむだけ。保有する以上は動かして、今後生き残るための原資を生まないといけない」と九電幹部は語る。

 ただ、原発は再稼働後も訴訟による運転停止や、さらなる安全対策の追加を求められるリスクが付きまとう。かつて経営に関わった元役員は言う。「原発を取り巻く環境は大きく変わった。一民間事業者で続けるのは厳しくなっている」

   ◇   ◇

使用済み燃料貯蔵は2方式を同時期申請 九電方針

 九州電力玄海原発3、4号機の使用済み核燃料について、九電の山元春義取締役は19日、燃料の間隔を狭めてプールの貯蔵容量を増やす「リラッキング」と、金属製容器に入れて外気で冷やす「乾式貯蔵」の工事計画を、再稼働後の同時期に国に申請する考えを示した。

 九電はリラッキングによる容量増加には限界があり乾式貯蔵と併用する方針。佐賀県議会の原子力安全・防災対策等特別委員会に出席後、山元氏は記者団に「同時期に申請しないと説明が難しい」と述べた。

 九電はリラッキング工事計画を2010年に申請したが、福島第1原発事故で国の許認可手続きが中断。新規制基準に適合するよう計画を変更して申請する見通し。










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