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元記者ピロシの醤油屋今日談

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「多様性」に学ぶ AIよりも大事なもの 醤油屋今日談(6)

2018年03月23日 03時00分 更新

記者:川崎弘氏


  • フーデックス ジャパンの期間中に訪れた飲食店「#uni Seafood]様。
    私(右)が指さしているのがお店の看板に写る鮎魚醤の瓶。左は副料理長の金岡寛人さん

  • 川崎弘(かわさき・ひろし)氏
    1980年、佐賀市生まれ。2003〜17年、西日本新聞の記者として事件、経済分野などの取材・執筆を手掛ける。17年10月、妻の実家である大分県日田市の醤油・味噌製造会社「まるはら」に転職。14年ぶりに新入社員に。ロック、カレー、日本酒好き。



 前回は千葉・幕張メッセでの食品見本市「フーデックス ジャパン」に出展したことを書いた。華やかなお祭りムードの会場から、大分での「日常」に戻って2週間。お客さまに要望された見積もりや商品サンプルを送る作業のめども、ようやく立ちつつある。

 工場での力仕事とは打って変わって、パソコンとにらみ合いながら一通一通メールを書くこと30人分。作業に慣れていない上、見積書のひな型や商品説明書にはちょくちょく間違いが潜んでいるため、気付けば「えっ、もう夕方?」という毎日だ。

 AIはおろか、ずいぶん前に始まった「IT革命」にさえ取り残されつつあるわが社。商品サンプルを送る際の荷造りはほぼ手作業で、数本の醤油や調味料を梱包するだけでも、けっこう大変だ。

 商品は、送り先との付き合いの深さや取引の規模、決済方法、送り先までの距離などによって金額が変わる。見積もりを弾き出すだけでも一苦労だが、送っても反応がないケースも多いそうで、これから厳しい現実を目の当たりにするのかもしれない。

 とはいえ、上京した1週間の間に、多くの刺激を受けた。六本木の裏路地にある飲食店「#uni Seafood」様では、鮮魚や海産物が盛られた大皿に、醤油の代わりとして、弊社商品「鮎魚醤」を瓶ごと載せて提供されていた。

 魚醤なのに臭みがないのが売りで、本来はタイの刺身やウニに合うが、マグロなど赤身には合わないと思っていた。それが、このお店ではなかなか好評らしく、「この商品、どこで買えるの?」と聞く方も多いらしい。他にはない食べ方として、店を始めた時から商品を使っていただいてるらしく、体の芯まで恐縮しながら帰路に就いた。
 
 また見本市では、韓国の貿易会社から「フレコンバッグ(大量の土砂や飼料を入れる巨大な袋)に入れて(魚醤を)韓国に輸出できないか」と相談を受けた。これまでは家庭の冷蔵庫に入るサイズの容器で出荷してきただけに面食らったが、輸送コストを抑える上では妙案だ。量の確保が難しいため、今回はお断りをしたものの、いずれ一度やってみたいなと思った。

 昨今、「多様性」という言葉をよく耳にするが、見本市で100人超と出会って話をしていると、世の中は実にいろんなアイデアがあふれていることを実感した。すぐに「商談成立」とはならなくとも、頭が柔らかくなった感触があり、会社や自分の今後を考える上でもいい機会にもなった。

 新聞記者をしていた時、何も分からない時は、人に聞くのが一番手っ取り早いと教わった。醤油屋でも同じなのだろう。人に会い、話に耳を傾ける。人工知能も大事かもしれないが、その前にまず、こっちを徹底したい。











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