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”何となく”の毎日を変える 「明星和楽」を担う大学生が作る、異質とのつながり

2018年03月25日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 松口健司さん。創業支援施設「福岡グロースネクスト」にはかつての大名小学校の階段の意匠がそのままに保存されている

  • 福岡で開催された2016年の明星和楽の一コマ。実業家・孫泰藏さんのトークもあった(実行委提供)

 真新しい靴とコートとバッグ。リクルートスーツ姿の若者が行き交う様子は、今や春先の風物詩だ。

 3月に会社説明会が解禁、6月に面接などの採用開始、と流れる一般的な「就職活動」。だが九州大学を今月卒業する松口健司さん(23)はそれを一切経ずに、社会に出る。卒業前に務める学生時代最後の大役が、あるイベントの実行委員長だ。

 みょうじょうわらく、という言葉を耳にしたことがある人は、福岡では少しずつ増えているかもしれない。漢字で書くと「明星和楽」。四字熟語ではない。「テクノロジーとクリエイティブの祭典」と銘打ち、福岡で2011年に始まった。

 米国・テキサスで毎年開かれる世界最大級のクリエイティブビジネスの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」を福岡でも、と地元のIT関係者が意気投合してスタートした明星和楽。台湾とロンドンでも開催実績があり、松口さんは前回から、実行委員長を務めている。

 明星和楽を一言で説明するのは難しい。「スタートアップ(創業、企業)のイベントって、普通はピッチ(プレゼンテーション)の連続です。そこに『エンターテインメント』を混ぜ合わせたイベントフェスティバルというか…、敢えて言うならば『カオス(混沌=こんとん)』ですね」。逆に言えば、内容を端的にまとめられないのが、このイベントの特徴でもある。松口さんはそこを「いろんなものをつなぎ合わせる場にしたい」と言う。

 なぜ、全国のIT、クリエイティブ関係者からも注目される明星和楽の実行委員長を大学生が務めているのか。実は長崎県内の高校を卒業した松口さん。九大入学後はバイトして友人と飲む―という「フツーの学生」だった。

 転機が訪れたのは2年次の終わり。九大の起業家教育・研究センター「QREC」が主催した、米国・シリコンバレーへの1カ月の短期留学だった。

 「スタンフォード大の学生と話していて、(あえて言えば)自分より小柄でかわいい女の子が、自分の思想と研究を堂々と語り『来年起業するの』と言い切る。そういう人たちがゴロゴロいて、『ケンジは将来なにやりたいの?』と聞かれて答えられなかった」。自分は何をやっているんだろう、と思わされた。

 そしてシリコンバレーで働く人々が口々に言っていたのが「大事なのはネットワーキング」という言葉。「いくらいい製品を作ろうが、人とのつながりがないと、どうしようもない」ということだった。

 現地で松口さんは、「大人」が若者の意見を聞き入れ、若者が大人たちを尊敬する、という関係性ができていることを感じた。これまで「大人なんてつまらない」と思っていた松口さんが初めて触れた感覚だった。


2016年の明星和楽では、VRを使ったゲームなどの最先端技術を使ったイベントも繰り広げられた(実行委提供)
福間慎一(ふくま・しんいち)<br />
福岡市生まれ。2001年入社、文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。16年9月からヤフーに出向、17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。









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