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ネックは佐賀の避難路 「平時」を前提、改良なく 玄海原発再稼働、松浦ルポ

2018年03月23日 03時00分 更新

記者:福田章



  • 急カーブになっている佐賀県道筒井万賀里川線の「大浦入口」バス停付近

 長崎県内では玄海原発(佐賀県玄海町)に最も近い松浦市。深刻な事故で避難が必要となったとき、市民が不安視する場所は県外にもある。原発から約8キロと特に近い鷹島町民の避難路に想定される佐賀県道342号筒井万賀里川(まがりかわ)線(唐津市、伊万里市)。何が危ないのか、4・14キロの道のりを車で走ってみた。

 松浦市の避難計画では、市民の一時避難場所は波佐見町などに設定されている。鷹島から避難する場合、いったん原発に近づく形で鷹島肥前大橋を渡り、唐津市に入る。遠回りとなる国道204号をショートカットするため、南下するルートが「筒井万賀里川線」。陸路で波佐見に向かうには地形的に唐津や伊万里を通るしかない。

 唐津市民らが日常的に使い、通学路でもある同線は中央線のない狭い道路で起伏や急なカーブも多い。「避難」とは関係なく以前から危険性が指摘されていた。松浦市も改良を求めてきたが、ほとんど進んでいない。

 記者は4年余り、取材で松浦市中心部と鷹島を往復するのに同線を利用してきた。雨天の今月19日。鷹島から大橋を渡って東へ約15分。国道204号の万賀里川信号を右折し、同線を南下する。間もなく右手に黒仁田溜(くろにただめ)というため池がある。そのまま進むと、左に大きく曲がるカーブに差し掛かった。

 松浦市が求める同線の改良要望箇所を示した地図を見る。要望はカーブや起伏の緩和、道路拡幅という内容ばかり。中でも、「大浦入口」バス停があるカーブは、要望10カ所でも優先順位1位の地点。狭く急カーブで対向車が見えにくく、普段でも危ないと感じる。非常時、われ先に避難しようとこの道に鷹島、唐津双方から車やバスが合流し、渋滞にはまり、気が焦る−。この時点でも原発からまだ十数キロ。そんな場面を想像すると、ぞっとする。

 カーブを抜けしばらく走れば直線道路となり、右手には「いろは島」が織りなす多島海の眺め、左手は緑に映える石州瓦の家々が続く。鷹島から約30分で同線の終点にたどり着いた。だが想像とはいえ「避難」として走ると、見慣れた美しい風景は目に入らず、時間も長く感じた。

 記者が走ったのは平日午後で、車は少なかった。こうした“平時”を前提にしているためか、地元の要望への佐賀県の回答は「現状の利用実態を考えると抜本的な改良は難しい」というものにとどまる。

 道路改良を巡り、昨年10月、唐津市肥前町の住民や同市議、佐賀県議らの「整備促進期成会」が発足。松浦市側から唯一、名を連ねる鷹島区長会の梶村寿登会長(62)は「島民は不安にさらされている。長崎県が避難路に指定していながら改良が進まないのはおかしい。国が原発を推進しているのだから、国に直接要望できるよう、国道に格上げしてもらいたい」としびれを切らす。

 唐津市肥前町切木(きりご)地区に住む期成会の川添政徳会長(64)の「松浦市議や長崎の県議も会に入り、一緒になって国に物申してもらいたい」との声は、県境とは関係ない避難の現場を走ると、切実さが増して聞こえる。










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