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「資さんうどん」への愛は全国規模だった こだわりのだし、亡き創業者の思い

2018年04月11日 11時04分 更新

記者:井崎圭


  • 資さんうどん魚町店のメニューサンプル。うどんに加え、丼物、ぼた餅、おでんなど多彩な料理のバラエティーが人気の理由でもある

  • ユニゾン・キャピタルが全株式を取得した「資さん」の本社=北九州市小倉南区

  • 小倉都心部の繁華街にある資さんうどん魚町店。24時間営業で、深夜も飲酒後の”締め”で多くの来店がある=10日午後、北九州市小倉北区

 「資さんうどん」で知られるうどんチェーン「資さん」(北九州市)が全国展開を視野に入れる――。投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」(東京)に全株式が売却されたニュースを本紙紙面で特報したところ、ツイッターなどで拡散され大きな反響があった。「東京に来てくれ」「生きる希望が湧いた」。資さんへの愛は地元北九州にとどまらず、全国規模のものだった。

 資さんの始まりは42年前の1976年。大西章資さん(2015年に死去)が、知人から同市戸畑区のうどん店を知人から譲ってもらって開業した。その後、妻と二人三脚で店を拡大、現在は42店舗を展開するまでに成長した。

 大西さんは生前、取材に「(うどんは)だしが命。作りたてでないと美味しくない」とこだわりを語っていた。言葉の通り、資さんはだしを工場一括生産ではなく、各店舗で手作りしているという。そのこだわりが北九州で「ソウルフード」と呼ばれるまでのブランドに成長させたのだった。

 資さんの魅力は「脇役」も含めたメニューの層の厚さにもある。うどんだけでなく、コテコテに煮込まれたおでん、そして大西さんが好きだったというぼた餅も販売。これらがいずれも資さん名物に育っている。

 私が資さんの売却話を知ったのは6年前にさかのぼる。ある金融機関の幹部と飲んでいた時だった。「資さんに絡んで、ある銀行が動いている」。そう漏らしたのだった。

 事業を成功させた大西さん夫婦だったが、悩みがあった。店を任せる後継者が育たなかったことだ。前述の金融機関幹部は「大西さんは銀行に後継問題を任せることを決めたようだ」と推測した。ちょうどそのころ、この銀行の関係者が資さんの社長に就任。銀行などが出資するファンドに株式が譲渡された。

 ファンドは運営会社を探しており、私も動向を注視していた。しかしその後は「地元のガス大手に売却される」「運輸会社と接触しているようだ」。様々な噂が、流れては消えた。

 私の知人のうどんチェーン経営者も資さんの売却話を知り、買収を検討した一人だった。その知人は言う。「一杯数百円のうどんで70億円を売り上げる企業はそうない。味もそうだが、あそこまでのブランドと看板を一代で作り上げるのは相当難しい」

 動向が注視される中、売却先に決まったのはユニゾンだった。回転ずしチェーン「あきんどスシロー」などの企業再生、業績向上を成し遂げた実績を持つ。ユニゾンは3月30日付で、ユニクロを展開するファーストリテーリングで執行役員を務めた佐藤崇史氏を社長に就任させた。佐藤氏は最近までつけ麺チェーンのトップだったという。

 ユニゾンの下、資さんは全国で羽ばたくのか。ソウルフードとして親しんできた北九州市民としては、実は少し寂しい。でも、大西さんの味と「こだわり」が各地に広がるのを考えると、楽しみでもある。


※記事更新18:20 「ユニゾンは1日付で」を「ユニゾンは3月30日付で」に、「餃子・うどんチェーンのトップ」を「つけ麺チェーンのトップ」にそれぞれ訂正しています。










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