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庁舎耐震、九州道半ば 災害時の拠点 市町村に遅れ 学校優先、離島 負担重く

2018年04月15日 03時00分 更新

記者:坂本公司



  • 熊本地震で損壊した宇土市役所。4階部分がつぶれ、使用不能になった=2016年4月、熊本県宇土市

 災害時に防災拠点となる九州7県の自治体庁舎の耐震化が遅れている。消防庁の調べでは、2017年3月末現在、現行の耐震基準を満たす庁舎の割合(耐震率)は78・0%で、全国平均(81・3%)を下回る。とりわけ長崎県は53・0%と全国最低。離島が多く島ごとに防災拠点を置く必要があることや、学校耐震化を優先している事情がある。熊本地震では庁舎損壊で行政機能が一時まひしたケースもあっただけに、専門家は「危機意識を持ち、耐震化に取り組むべきだ」と指摘する。

 現行の耐震基準(1981年導入)は震度6強程度の揺れで倒壊の恐れが小さいことが目安。消防庁によると、九州の自治体庁舎のうち、地域防災計画で防災拠点と位置付けられた庁舎は1097棟ある。耐震化は県所有・管理の庁舎が先行しており、7県平均の耐震率は全国平均を上回る97・6%。一方、市町村の九州平均は73・4%で、全国平均より低い。

 熊本地震では65年完成の熊本県宇土市役所の4階部分がつぶれ、倒壊寸前になり使用不能になった。災害対策本部は駐車場のテントや体育館を転々。熊本県内では同市を含め益城町など7市町で庁舎が使えず、機能を他に移した。罹災(りさい)証明書の発行など行政サービスも一時滞った。

 熊本県内では、この7市町が耐震基準を満たす仮設庁舎などに移り、耐震基準に満たない本庁舎の解体が始まったことにより、耐震率は上昇。17年3月末は前年から5・8ポイント伸び、91・4%だった。

 一方、長崎県内は防災拠点となる庁舎の半分近くが耐震基準を満たしていない。県危機管理課は各自治体が学校や体育館の耐震化を優先していると説明。「耐震改修でなく建て替えを検討している市町も多い。財政面との兼ね合いで方針決定に時間がかかっているのでは」(担当者)という。

 このうち同県松浦市は本庁舎のほか、二つの島や合併前の旧町ごとにある支所など計7棟が全て耐震基準を満たしていない。築37年の本庁舎は耐震改修する方向で検討中だが、工事の際に空調設備の配管を撤去する必要もあり、費用は少なくとも5億円が必要という。市会計課は「当初予算規模が180億円の市には重い負担」と話す。

 離島の多さも影響している。福岡県内では、政令市を除けば市町村のほとんどが5棟以内を防災拠点としているが、長崎県新上五島町は8棟、五島市は14棟。ともに耐震化は遅れている。新上五島町は「合併前の旧町庁舎は住民の暮らしを支える上でも、防災面でも重要」としている。

 国は熊本地震を受け、耐震化促進策を強化。耐震基準を満たさない市町村庁舎は改修だけでなく、建て替える場合も補助することにした。兵庫県立大大学院の室崎益輝教授(防災計画)は「『立派な庁舎は後回しでいい』との考えが自治体側にみられるが、率先して庁舎を安全にする方針を立て、住宅の耐震化もリードしてほしい」と話す。










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