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広告戦略で「杵築」輝かせる 大分 地域商社「きっとすき」社長の大蔵賢さん(60)

2018年04月22日 03時00分 更新

記者:原田克美


  • 「著名なデザイン会社に依頼した会社ロゴ。これに負けないよう一人前の会社に育てたい」と話す大蔵賢社長

 「杵築は素晴らしい魅力、コンテンツに満ちあふれている。一方、これをいかに絞るかが私の仕事。売って売って売りまくる」

 大分県杵築市が認定する「杵築ブランド」など地元産品を扱う地域商社「きっとすき」が2日設立された。その社長に、広告大手博報堂(東京)に勤務した大蔵賢さん(60)が就任した。初めて踏み入れる流通の世界。「情報を売ったことはあるが、ミカンを売ったことはない」と控えめなものの、頭の中はすでに明確な戦略で満ちあふれている。

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 「広告はか弱い鳥で、二つ以上荷物が持てない」という。例えば自動車。スタイルや走りが良い、空間が広い、安全でしかも安い−。利点をいくつもうたうのはカタログだが、興味のない消費者を振り向かせるのは難しい。「利点を絞って訴える。これが人の心に届く」。広告業界で培った「ヒット商品」を生む極意だ。

 そこで初年度は、数ある市の産品のデータベース化を進める計画。ミカン、茶、山香牛、ハモなど、市には豊かな自然を生かした食材が豊富だ。しかもこれらを商品化した「杵築ブランド」は、全国各地の産品を扱う首都圏のバイヤーが「東京で勝負できる」とお墨付きを与えたものばかり。とはいえ、競合相手がひしめく中で、いかに消費者に杵築の商品を手にしてもらうか。どんなチャンスがあるのか、量は確保できるのかなどを調べ、有効なマーケティング戦略を練っていく。腕の見せどころだ。

 「杵築市」の知名度向上と地産地消も視野にある。松阪牛、大間のマグロ、氷見のブリ−。全国に名の知れた産品は、必ず地域の名前が先にくる。北海道北見市も良い例だ。平昌五輪で銅メダルを獲得した女子カーリング選手の出身地として一躍有名になり、土産品が飛ぶように売れている。「商社業務の本線ではないが、市のネームバリューを上げることも同時並行的にやる必要がある」。

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 地元で杵築ブランドを買える店や食べる店が少ないと感じている。「市民が知らないのに、市外の人が買いませんよ」。学校給食の食材にしたり、特産品を販売する地元拠点に市民にも分かりやすい専門コーナーを設置したりすることも思案中だ。

 会社は杵築市や地元の農協、漁協などが出資した。市は宣伝企画やプロモーションの「プロ」を社長として全国から公募し、応募した14人の中から選んだ。

 本籍は日田市。高校まで県内で過ごした。教諭だった父親が杵築高教頭だったり、妹が同校を卒業したり杵築にはゆかりがある。江戸時代の三大農学者と称される大蔵永常の子孫で、先日、永常が杵築藩の隆盛に寄与した七島藺(しちとうい)を杵築地域で初めて植え付け、加工も始めたことを知り、不思議な縁を感じたという。

 昨年、博報堂を定年退社し、母親への親孝行のため帰郷した。しかし2〜3カ月すると「何かをしていないと寂しい」と、「仕事の虫」がうずき始めた。そんなとき、知人から公募の話を聞き応募した。「神様がここで働けと知らせてくれたのでしょう」。「大きな恵みを紹介する小さな商社」のリーダーは偉大な祖先と同じ道を歩み始めた。










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