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蒸気漏れ玄海3号機18日ぶり発電再開 九電

2018年04月19日 03時00分 更新


  • 穴が開いているのが見つかった玄海原発3号機の空気抜き管(九州電力提供)

 九州電力は18日、蒸気漏れトラブルで停止していた玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で発電と送電を再開したと発表した。発送電再開は3月31日の停止以来、18日ぶり。当初4月下旬を予定していた営業運転開始は、5月中旬になる見込みという。

 九電は18日に原子炉の出力を上げ、午前9時すぎにタービンを起動、午後3時すぎに発電を再開した。今後は段階的に出力を上げながら必要な試験や検査を行い、5月中旬に原子力規制委員会による最終的な検査を受ける。

 九電は「引き続き、国の検査に真(しん)摯(し)に取り組むとともに、工程にとらわれることなく安全確保を最優先に慎重に進めていく」としている。

 蒸気漏れは、放射性物質を含まない「2次系統」設備の配管で発生した。九電は原因調査後、問題の配管と同種の配管全てを今月10日までに新品に交換。佐賀県が発電再開の条件にしていた再発防止策も17日に提出し、了承を得ていた。 (石田剛、田中良治)

   ◇   ◇

「再稼働後のリスク理解を」識者  

 再稼働した直後の九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で発生した蒸気漏れトラブルは、九電が再発防止の報告書を佐賀県に提出し、18日に3号機の発電を再開した。原因と推定されたのは、雨水による屋外配管の腐食。どれほど事故対策に注力しても「想定外」(九電幹部)を防ぐ難しさが改めて浮かび上がった。トラブルが示した教訓について、識者に聞いた。

 玄海原発などの加圧水型軽水炉は、原子炉を循環する水が核分裂で発生した熱を受け取る1次冷却系と、その熱を別の水に伝えて蒸気をつくり、タービンを回して発電する2次冷却系に分かれている。

 九電によると、トラブルは、2次系の設備から余計なガスを抜く「脱気器」で発生。屋外にある空気抜き管の1本に直径約1センチの穴が見つかった。2次系のガスや水は放射性物質を含まず、外部への放射性物質の流出はないという。

 「同様の配管設備は火力発電所でも使われる。事故そのものは軽微だった」。九州大の渡辺英雄准教授(原子炉材料)は九電の説明に理解を示しつつ、点検態勢に首をかしげる。

 原子力規制庁によると、1次系の設備は原子炉等規制法や規則で点検が義務付けられるのに対し、2次系の多くは電力会社の社内規定に基づいて点検される。今回の脱気器は2次系にもかかわらず「原子炉等規制法に伴う規則に基づく点検対象」(九電)だったが、巡視では配管外部のさびを確認しながら、内部の穴を見落としていた。

 渡辺准教授は「2次系設備をどのレベルで点検しているのか。安全重要度が低い設備に関しても、点検方法の詳細を明らかにするべきだ」と話した。

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 東京大の井野博満名誉教授(金属材料学)は「たとえ2次系の事故であっても、軽視してはいけない」とくぎを刺す。

 関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)では2004年8月、タービン建屋内で、点検リストから外れていた2次系の配管から蒸気漏れが発生。高温の蒸気を浴びた作業員5人が死亡、6人が重傷を負う事故が起きた。

 今回の脱気器には約170度の温水が流れ、圧力は7気圧ほどだった。九電は漏れた蒸気を「微少」とするが、井野名誉教授は「配管は相当量の蒸気が噴出する圧力。発見が遅れれば蒸気が噴き出し続け、2次系の水位が下がる。連動する1次系にも影響し、原子炉の冷却機能が失われた恐れもある」と警告する。

   ■    ■

 元東芝の原子炉格納容器設計者の後藤政志さんは、トラブルが再稼働直後に起きた点に着目する。

 九電川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)では、再稼働の9日後に蒸気を水に戻す「復水器」の不具合が発生。関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)でも再稼働の3日後、発電機と変圧器の故障を知らせる警報が鳴り、原子炉が緊急停止した。

 後藤さんは「原発は停止時の方が経年劣化が進みやすい。大事故にならなかったのは結果論にすぎず、九電は安全上、より重要な機器でもトラブルが起こるリスクを理解するべきだ」と指摘した。 (山下真)










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