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荒玉観光、“風評”はね返す 「体験型」を積極発信 グリーンランドと連携も

2018年04月22日 03時00分 更新

記者:向井大豪


  • 荒尾干潟でマジャク釣りを体験する修学旅行の中学生たち

  • 体験学習のメニューを紹介するカタログ

  • 地震で小代焼の窯の煙突が倒れたときの状況を説明する福田安さん

 熊本県北エリアは熊本地震の被害が比較的小さかったものの、風評被害で観光客や修学旅行客が落ち込んだ。荒尾市と南関町、長洲町、福岡県大牟田市の2市2町でつくる「荒尾玉名・大牟田観光推進協議会」は、体験学習に適した観光地を紹介するカタログを刷新するなど、修学旅行の誘致に力を入れている。積極的な営業活動が実って新規の修学旅行が次々に決まり、震災前のにぎわいを取り戻しつつある。 

日帰り客100万人減

 「地震で窯の煙突が倒れ、修理のために3日間営業できなくなった」。荒尾市の小代焼の窯元、福田安さん(70)が振り返る。営業再開後も客足が戻らず、苦しい経営が続いたという。

 県によると、熊本地震が発生した2016年度の荒尾・玉名(荒玉)地域の日帰り観光客数は514万1321人で、前年度から約100万人減少。特に県外からの観光客の落ち込みが顕著だった。

 県全体に広がった風評被害の影響で、同協議会が誘致していた関西の中学校2校の修学旅行もキャンセルになった。「余震の影響を心配する保護者や学校関係者が多かったようだ」(同協議会)。修学旅行を積極的に受け入れる南関町のホテルセキアも打撃を受け、16年度の修学旅行の宿泊客数は前年度比約20%減となった。

「地域の安心」訴え

 危機感を強めた同協議会は、地震後すぐに付き合いのあった関西の旅行各社を回り、荒玉地域の状況について「直接的な被害は小さく、観光施設は地震前と変わらず営業を続けており、安心して修学旅行できる」と訴えた。

 17年3月、干潟でマジャク(アナジャコ)釣りができる荒尾市、小代焼で知られる同市や南関町、金魚養殖に力を入れる長洲町などを紹介するカタログ2千部を作成した。

 カタログは表紙に「有明のうみと三池のやまで『環境』を学ぶ 体験型教育旅行」のキャッチコピーを印刷し、マジャクを釣り上げた生徒の笑顔の写真を載せた。各ページで修学旅行に適した多彩なプランを紹介しており、旅行会社を通じて学校側に地域の魅力をアピールしている。

 災害発生時に自治体から学校側に情報が伝わるまでの流れもチャートで説明し、「万が一の事態になっても避難所開設などの情報を速やかに提供する」と万全を期す。

誘客エリアを拡大

 こうした活動が実り、17年度は兵庫県内の4中学校の修学旅行を誘致。うち1校は小代焼の作陶体験を初実施した。「職人らによる指導が丁寧で分かりやすかった」などと好評で、他校からの希望が増加。本年度はすでに神戸市などの中学校2校から作陶体験の予約が入っている。

 窯元を取りまとめる南関町の坂井博樹さん(48)は「修学旅行生の受け入れを通して少しずつでも知名度が高まっていけば励みになる」と期待を寄せる。

 同協議会は今後、西日本最大級の遊園地、グリーンランド(荒尾市)と合同での営業活動を強化していく。同園はスペースワールド(北九州市)の閉園に伴い誘客エリアを広げ、本年度の修学旅行生の受け入れ人数は前年度より5千〜6千人増える見通し。同協議会としてもこの勢いに乗り、関西に加え、四国や中国地方などで新たな営業先を開拓していきたい考えだ。

 事務局の荒尾市産業振興課の担当者は「修学旅行誘致の経済波及効果は大きく、良い思い出を提供できれば卒業後のリピーターにもつながる」と強調。各自治体のトップが参加する営業活動の実施も検討しているという。

荒玉地域の地震被害 2016年4月の熊本地震で荒尾、玉名地区の最大震度は玉名市で6弱、荒尾市で5弱を観測した。家屋の被害は、玉東町で全半壊160棟、玉名市で同106棟、南関町で同3棟、和水町で半壊33棟だった。両地域の日帰り観光客数は、地震前の15年度が618万630人、16年度が514万1321人と大きく落ち込んだ。









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