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AIって何? グルーヴノーツ、最首社長に聞く データを基に予測、人間っぽい

2018年05月07日 12時32分 更新

記者:井上直樹


  • グールヴノーツの最首英裕社長

 いろはの「い」から人工知能(AI)を考える企画「AIのある未来へ」を始める。すっかり私たちの社会に浸透した感のあるAI。将棋のAIがプロ棋士に連勝した。AI技術を使った自動運転車が公道を走った。そんなニュースが連日報道され、未来を変える万能装置のように扱われている。それだけに、きちんとAIのことを知りたい。どんな働きが私たちの暮らしを快適にし、どんな能力が将来を見通すのか。害はないのか。専門用語ばかりの話ではなく、未来の日常を感じさせる話題を取り上げる。1回目のテーマは、そもそも「AIって何?」。

 人工知能(AI)とは何か−。福岡市のIT企業「グルーヴノーツ」の最首英裕社長に、「AI」の姿や社会で求められる役割を聞いた。

時代とともに変化

 「AIは『Artificial Intelligence』の略。ArtificialはNatural(自然の)の反対語で『人工の』や『わざとらしい』という意味がある。人間に置き換わる知能というよりも、知能っぽく感じることを漠然とAIと呼んでいるにすぎない」

 時代とともにAIは変わってきた。

 「今、電卓のことを誰もAIだと思わないだろう。でも計算機が誕生した頃は、機械が人間を超えた、とセンセーショナルに言われたはずだ。だから仮にAIと呼ばれるものが生み出されたとしても、だんだん仕組みを理解することで、AIと認識されなくなることがある」

 AIにはさまざまな定義があるが、人工知能学会は「学会として統一したAIの定義はない」としている。

人間の役割も重要

 AI技術の一つに「機械学習」がある。コンピューターに膨大な画像や数値などデータやパターンを覚えさせることで、新しい画像や数値を与えた時に何が映っているか判断し、将来の数値予測が可能となる。

 「例えば店舗でペットボトル飲料の販売数を予測する場合を見てみる。気温や日照時間、曜日や駅の乗降数といったデータを入力すると、AIは特徴を探し出し、売り上げを予測する」

 コンピューターに教えるには人間の役割も重要だ。最首さんは「どんなデータが必要か、人間のセンスが大切になる」と言う。

 「人間の判断とAIの予測は、よく似ている。例えば『夕焼けの翌日は晴れ』ということわざがある。人間は夕焼けを定義するとき『空がどれくらい赤いのか』『時刻』『季節』といった特徴から総合的に判断する。そして過去の経験から明日は晴れ、と予想する」

 歴史の中で培った経験やデータを参考に、人間は「何となく」でも近い将来を予測している。AIは人間っぽいが、人間には対応できない大量のデータを基に、一瞬に判断することができる。

将来は存在消す?

 「報道を見ていてAIと(機械が動く)ロボットが混同されていると感じる。鉄腕アトムのように、何でもできるロボットの姿をAIからイメージする人が多い。しかし今の社会で求められているのは事故がないよう正確に自動運転し、花の種類を正しく見分けるような特定分野での技術だ」

 このように個別の分野で知的に振る舞うAIは、「特化型AI」と呼ばれる。一方、多様な問題を解決する能力を自ら獲得するAIは「汎用(はんよう)型AI」という。

 「人間のように『運転をして、花も見分けて、会話をする』ような汎用型のAIをつくるのは大変な仕事だ。社会で求められているかどうか疑問がある」

 最首さんが思い描くAIとは?

 「例えば家に帰って、部屋が暗ければ自動で照明がつく。酒を飲んでいたら、スピーカーが『早く寝ましょう』と声で促す。落ち込んでいたら、テレビを通じて好きな映画で励ますかもしれない」

 ロボットに搭載されている必要はないとも考える。

 「AIにドラえもんのような実体があれば、ずっと付いてきて一緒に飛行機やバスに乗ってコストがかかる。ロボット技術は人間の動作を再現するほどは進化していない」

 「日常でAIの存在を意識するということは、不自然だということ。将来のAIは存在を感じさせない、物理的な『体』がなくて見えないものではないか。存在は感じないが、快適に日常を過ごせるよう支えてくれる存在になる」

 近い未来、電卓のように「AI」と認識しなくなる便利な仕組みが私たちの周りに増えていくだろう。それでも私たちは「AIとは何か」と考え続けるだろう。そこには「人間とは何か」という、根源的な問いも含まれているからだ。

■グルーヴノーツ 2011年設立。機械学習の仕組みを専門家でなくても使えるサービスを提供する。サービスは金融機関や小売業、学習塾など幅広い企業で導入され、利用登録数は約2000件。プログラミングや工作を教える学童保育も運営する。社員数38人。









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