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意外に少ない?「九州」ブランド パンケーキと廃校から見えた地元の可能性 MUKASA-HUB・村岡浩司さん

2018年05月11日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 「東京の居酒屋で初対面の人同士が『九州出身よ』となったときの一体感。九州の人には『九州人』としての意識があると思う」と話す村岡浩司さん=福岡市の創業支援施設「福岡グロースネクスト」

 宮崎市中心部から車で20分の同市高岡町。山あいの廃校が昨年、宮崎県内最大規模の創業支援施設に生まれ変わった。かつての小学校名から取った施設の名前は「MUKASA-HUB(ムカサハブ)」。その代表で、海外でも人気の商品「九州パンケーキ」を手掛ける「一平」(同市)社長の村岡浩司さん(48)が、初めて本を書いた。タイトルは「九州バカ」。刺激的なタイトルに込めたのは、地元九州が持つ、限りない可能性だという。

九州ブランド、強いのに…

 赤米やサトウキビ、もちきびなど九州各県と沖縄の素材のみで作られた「九州パンケーキ」は2012年の発売後すぐに人気に火が付き、14年には台湾に初の海外店舗を展開。海外のカフェ3店舗で提供し、米国ではパンケーキ粉も販売している。

 (村岡さん)「九州」というブランドは強いのに、その名前がついた食べ物はほとんどありません。九州の特長は「多様性」。でもそれは、対外的なアピールを考えるともろ刃の剣でもあります。北海道と比較するとよく分かる。「北海道」という地名の海外での知名度は高い。インスタグラムで検索すると、よく分かります。

 インスタグラムで「#hokkaido」は305万件、一方の「#kyushu(#kyusyu)」は31万件。世界中の人が使うSNSでは、北海道の方が圧倒的に高い知名度であることがうかがえる。

 雪、酪農といった北海道のブランドは確立しています。一方、九州はまだまだ。だから無理やり九州を冠したパンケーキを作りました。各地のいいものを組み合わせて「九州」を押し出せば、ブランド化ができる。例えばかんきつ類。九州には晩白柚もポンカンもタンカンもある。全部混ぜて「九州オレンジジュース」、それだけで間違いなくいい味になります。和牛だって、宮崎牛も佐賀牛を全部「九州和牛」とすれば海外からの見え方は違います。「九州」は個性を消すのではなく、逆にそれぞれの地域を際立たせることができる。

廃校は各地共通の財産

 「一平」は、宮崎市内の旧穆佐小学校の土地と建物を取得して改装、昨年5月、自社ビルと創業支援施設を兼ねた「MUKASA−HUB」としてオープンさせた。投資は約1億2千万円に上ったという。現在、自社を含めて計14社が入居している。

 事業規模からすると、街中のビルも買える金額。すごく大きな投資でした。コワーキングスペースや会議室など、全体の7割が共用スペース。「コミュニティ」のあり方を問いたかったからです。今、投資に見合っているかというと、家賃だけでは黒字化できていない。でも、自分の会社の成長を担保できれば、どうにでもなります。

 村岡さんは、宮崎発の定番メニュー「レタス巻き」の発祥の店とされる「一平寿司」の2代目。父・正二さん(故人)が、知人に「もっと栄養を付けろ」と野菜を巻き込んだ寿司を振る舞ったのが最初だという。

 既存の概念にとらわれずに新しいものを生み出した父のレタス巻きが、この施設の原点と言えるかもしれません。ここにはいろんなキーワードがある。コミュニティ、ベンチャー、遊休ストックの再配分…。これまで商店街活性化などに取り組んできましたが、一番大事なのは「プレイヤー」。人を育てる場所をつくらないといけないと思っています。


「一平」の本社も入る創業支援施設「MUKASA−HUB」(ムカサハブ提供)
廃校をリノベーションし、イベントなどが開かれている(ムカサハブ提供)









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