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日航機金属片98個落下 益城の23地点 広範囲でブレード破損

2018年05月26日 03時00分 更新

記者:佐々木直樹、久保田かおり


  • 不具合が発生した日航機の左エンジンを調査する運輸安全委員会の調査官ら=25日午後1時半、熊本空港

  • 飛行機の部品落下について熊本市で記者会見する日本航空の阿部孝博執行役員空港本部長(左から2人目)ら

  • 部品を落下させた左側のエンジンが調べられる日航機=25日午前9時57分、熊本空港(共同通信社ヘリから)

  • 医院の敷地内で見つかった日航機の部品と見られる金属片=24日

 熊本空港を24日夕に離陸した日本航空機から部品が落下したトラブルで、周辺の熊本県益城町で見つかった金属片は、25日午後までに23地点の98個に達した。国土交通省によると、左エンジン後方のタービンブレード(羽根)の損傷が、目視できる限りで広範囲に及んでおり、エンジン内の別の箇所から破断した部品が高速回転するブレードにぶつかり、二次的に破損した可能性があるとみている。

 国交省熊本空港事務所によると、ブレードの破片とみられる金属片は、益城町内の数百メートルの範囲に集中していた。被害は医院の窓ガラス、車3台、建設中の建物の計5件に拡大した。

 国交省は、事故につながりかねない重大インシデントと認定。運輸安全委員会は航空事故調査官3人を派遣し、調査を開始した。

 熊本空港で機体を調査後、取材に応じた調査官によると、エンジン後方の補助翼などに複数の傷が見つかった。一方、エンジン前部の空気を取り込むファンに鳥などが衝突した跡は確認できなかったという。

 日航の阿部孝博空港本部長は同日、熊本市で記者会見し、落下物による被害を受けた住民らに対し「深くおわびする。被害への補償に誠意を持って速やかに対応したい」と述べた。

 トラブルを起こしたボーイング767については、保有する同型機のエンジン内部を内視鏡で検査すると発表した。エンジン全70基のうち、直前の検査から間隔が空いている46基は5月中に点検を終える方針。 (佐々木直樹)

   ◇   ◇

「衝突、金属疲労の可能性」専門家

 飛行中の航空機から部品が落下する事故は過去にも起きている。最近では昨年9月、全日空機のパネルが茨城県内の会社敷地内に落下。同月には別の国際線旅客機のパネルが大阪市中心部を走行中の乗用車を直撃した。九州では2005年8月、福岡空港を離陸直後の国際線旅客機のエンジンから金属片が多数落下。中学生ら2人が軽傷を負った。

 今回の日本航空機の事故で、国土交通省は左エンジン後方のタービンブレード(羽根)に広範囲の損傷を確認。航空評論家の青木謙知氏は「部品や損傷部を丁寧に調べる必要があるが、タービンに何かが衝突した可能性やタービン自体の金属疲労などが原因として考えられる」と指摘した。

 日本航空は運航する同型機で同様の事故例はないとしており、青木氏も「同型機で同じような事故が起きる可能性は極めて低いのでは」との見方を示した。 (笠原和香子)

   ◇   ◇

国交相が日航へ早期の対策指示

 熊本空港を離陸した日本航空機から部品が落下したトラブルで、石井啓一国土交通相は25日の閣議後記者会見で、日航に対して運輸安全委員会の調査を待たずに原因究明し、必要な対策を取るよう24日に指示したことを明らかにした。

 熊本県益城町には機体の部品とみられる金属片が落下し、医院の窓ガラスを破損するなどの被害が発生した。石井氏は「地域住民にご心配をお掛けしたことは大変重く受け止めている。原因究明と再発防止に努める」と述べた。 (久保田かおり)

   ◇   ◇

「原因究明を」住民怒り 益城町や熊本県は再発防止申し入れ

 24日夕に熊本空港を離陸した日本航空機の左エンジンが破損したトラブルで、機体から落下した金属片が相次いで見つかった益城町の住民からは25日、原因究明や再発防止を求める声が相次ぎ、町や県は早期対応を日航側に申し入れた。

 落下した金属片で窓ガラスにひびが入るなどした同町安永の益城整形外科医院は25日朝から通常診療。午前中には日航の担当者が謝罪に訪れた。山本正昭院長(69)は「患者さんに当たったら大変だった。もう事故が起きないように対応してほしい」と話した。

 敷地内で複数の金属片が見つかった近くの自動車整備工場を経営する古庄広幸さん(74)は「ここでよく作業をするし、お客さんも来る。頭に当たっていたら死んでいたかもしれない。原因をしっかり調べてほしい」と憤った。

 同町安永の建築塗装業堀川誠治さん(54)は25日朝、自家用車のフロントガラスにひびが入っているのに気付き、駆け付けた警察官が付近で金属片を発見した。「最近、よく航空機の部品が落ちるニュースを見る。なんであんなに落ちるのか」と首をひねった。

 同日昼に日航側の訪問を受けた西村博則町長は、トラブルが起きた24日に日航側から報告が無かったことを問題視。「誠に遺憾であり、今後、同様の事態発生時は速やかかつ緊密な連携が図られるよう要望する」とコメントした。

 蒲島郁夫知事は「人命に関わる重大な事態であると認識している」とコメント。県は25日、謝罪に訪れた日航側に原因究明や再発防止などを申し入れた。 (壇知里、古川大二)

   ◇   ◇

「速やかに補償対応」日航が会見

 日本航空の阿部孝博執行役員空港本部長らは25日、熊本市で記者会見に臨み、「(地元の)関係者にご心配とご迷惑をお掛けしたことを深くおわびする。誠意をもって速やかに補償の対応をしたい」と陳謝した。主なやりとりは次の通り。

 −落下した部品は。

 「左エンジンの燃焼ガスを受け止めるタービンブレード(羽根)の破片の可能性が高い。着陸後の外観検査で、エンジン最後部のブレード数十枚に欠損や傷が見られた」

 −トラブル発生時の機内の状況は。

 「熊本空港を離陸し、旋回後に機長が振動を感じ、計器で左エンジンの排気温が高くなっていることを確認した。左エンジンの出力を抑え緊急着陸した。乗務員からは、振動や異常音があったと報告を受けた。ブレードの破損が振動につながったと思われる」

 −トラブルがあったエンジンの使用歴は。

 「1993年から使用を始め、2017年11月の分解整備後に今の機体に取り付けた。今年3月に飛行400回ごとに行う内視鏡点検を実施した後、386回目の飛行だった。離陸前の目視点検では、エンジンに異常はなかった」

 −同型機は。

 「社内には同型のボーイング767−300が34機(エンジン68基)があり、内視鏡による点検を進めている。同型機を導入した1995年以降、タービンブレードの破損は初めて」










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