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「アロマ」でまちおこし、植木業界に新風 福岡・久留米でスタート 香りに親しむ広場整備、精油製造販売も

2018年06月04日 03時00分 更新

記者:糸山信


  • 荒廃した竹林を整備した「香気圧広場」。香りを楽しむ地域住民の憩いの場として期待される

  • 広場オープンを前に地域住民や植木農家がギンバイカの植栽作業に励んだ

  • 地域を挙げたアロマ事業に期待を寄せる県緑化センターの田島久通所長(左)と福島明裕さん

  • 地元産ギンバイカ(マートル)などを蒸留して作ったエッセンシャルオイル

 全国有数の植木産地の福岡県久留米市で「香り」に光を当てたまちおこしが始まっている。植木生産者や地域住民が香りに特長ある樹木の栽培からエッセンシャルオイル(精油)の製造、販売に取り組んでいるほか、材料となる樹木や草花約2600本を植えた広場も整備。公共事業の削減などで植木業界の経営環境が厳しさを増す中「アロマ事業を新たな産業として育てたい」と意気込む現場を訪ねた。

 久留米市大橋町合楽の指出地区。耳納連山の鮮やかな緑も目に飛び込んでくる日曜の午後、住民と若手植木生産者計約20人が苗木の植栽に汗を流していた。

 「訪れた人が自然に香りに親しんでもらえるように『香気圧広場』と名付けました」。県緑化センター(同市田主丸町)の所長で、地元自治会による広場整備を代表として支える田島久通さん(63)はほほえむ。広場は約2千平方メートル。田島さんによると、かつて竹が生い茂っていた場所を整備したという。「クスノキだけを残すとすてきな場所。木陰は心地よく風もよく通り、憩いのオアシスになると確信した」と振り返る。

 年間を通じて緑や花が楽しめるよう広場には92種類もの草木を植えた。このうち香りの樹木・草花が1400本を占める。中でも主役になるのが約千本を植えるギンバイカ(銀梅花、英名マートル)だ。

 地中海原産の常緑樹で、6月に梅に似た白い花を咲かせることから結婚式のブーケにも使われる。甘酸っぱさを含んだ香りがあり、ハーブとして料理に用いられるほか、浴槽に浮かべて芳香浴も楽しめるという。

 住民たちが植えたギンバイカは現在高さ30センチ程度。同市田主丸町で植木の卸販売業を営む福島明裕さん(55)によると、約2年後には大人の腰の高さほどまで成長し、茶畑のような雰囲気に。収穫期は6〜10月で、一部で来場者に花を見てもらう以外は順次若い枝葉の刈り取りを進めていく。

 収穫したギンバイカの加工を担うのが、アロマ樹木生産から商品化までの6次産業化に取り組む「緑の機能性研究会」(久光喜徳会長、27人)。田島さんと福島さんも主要メンバーで、県緑化センター内に蒸留器を置き、約2年前から精油の研究を続けている。

 すでにギンバイカのほかウラジロモミ、ケクロモジの精油を商品化し「植木屋あろま」ブランドで販売する。専用の加湿器などに入れると空間アロマセラピーが楽しめ、リラックス効果などが期待できるという。5ミリリットル入りで2千〜3千円台と高額だが、類似品は90%以上が海外からの輸入のために100%国産のエッセンシャルオイルは貴重。「専門家である植木農家が関わることで生産管理や衛生管理も徹底できる」と福島さんは自信を見せる。

 田島さんは「ギンバイカを研究会が引き取ることで、自治会に年10万円程度の収益が見込まれる。アロマワークショップや蒸留体験なども共同で企画していきたい」と語る。一連の計画は住みよい香りの環境作りを支援する環境省の「2017年度みどり香るまちづくり企画コンテスト」で日本アロマ環境協会賞を受賞するなど、全国の関心を集める。

 研究会は久留米大医学部や久留米筑水高とも連携を深めており、2人は「香りによって脳を刺激し、認知症予防の効果が期待できる。メディカルアロマの可能性も探りたい」と声をそろえる。植木で栄え、医療で栄えた久留米の町。アロマ事業がその両者を結ぶ懸け橋にもなりそうだ。










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