赤字路線を大幅減便した3月のダイヤ改正への反発を受け、JR九州が18日発表した見直し策に、沿線が求めた減便列車の「復活」は盛り込まれなかった。自治体は引き続きJR九州に再考を促す構えだが、通勤通学などに不便を強いられる利用者は落胆を隠せず、不満がくすぶる。
ダイヤの微修正などにとどまり、計38本の減便は見直されなかった大分県。広瀬勝貞知事は記者団の取材に「要望が反映されたのは一部。今後も見直しを求めたい」と強調した。
県が実施したダイヤ改正の影響調査では、県内全18市町村のうち16市町、全55高校のうち28校が「影響があった」と回答した。
久大線で同県九重町から日田市の日田林工高に通う3年有永夢叶さん(17)は野球部の練習後、日田駅からダイヤ改正前より30分遅い午後9時14分発の最終列車に揺られて同10時ごろ帰宅する。練習終了は午後7時半ごろ。「改正前のように午後8時台に1便あれば」と復活を願ったが、かなわなかった。
県内3路線の減便復活を求めていた宮崎県の河野俊嗣知事は「残念。引き続き見直しを要望するとともに利用促進も一緒に考えたい」と語った。
県の影響調査では、吉都線沿線の高校から「生徒が放課後に3時間以上待たされるようになった」との声が上がった。JR九州が高校の定期試験期間中、生徒の帰宅時間帯に臨時便運行を検討することについて、吉都線で同県えびの市から小林市に通う小林秀峰高2年の加藤啓志さん(16)は「必ずやってもらいたい。夕方の利用者はほぼ学生で、時間帯をもっと工夫してほしい」と訴えた。