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【あなたの特命取材班】博多ラーメンの友ピンチ からし高菜の原料品薄

2018年06月21日 15時00分 更新

記者:笠原和香子、西田昌矢


  • こだわりの国産からし高菜をトッピングしたラーメン=福岡市中央区

  • 特製のからし高菜と「元祖ぴかいち」店主の張哲さん=福岡市博多区

 福岡名物「博多ラーメン」にトッピングする代表的な具材といえば、からし高菜。多くのラーメン店に常備され、無料提供されている。ところが近い将来、テーブルから姿を消すかもしれないという。深刻な高菜不足のためだ。名物の味に何が起きているのか。

無料提供取りやめる店も

 「このまま無料提供を続けるなら、ラーメンを値上げせざるを得ないかも」。ラーメン店「長浜将軍」(本社・福岡市早良区)の担当者は困惑している。

 からし高菜とは一般的に、油で炒めた高菜に唐辛子やいりごまなどをブレンドしたもの。同店は漬物メーカーから国産の高菜を仕入れて調理し、客に無料提供しているほか、東京の飲食店などにも販売している。何とか仕入れ量を確保しているが、メーカーから「これ以上は増やせない。無料提供はもうやめた方がいいのでは」と提案されたという。

 皿うどんとちゃんぽんが人気の「元祖ぴかいち」(同市博多区)の店主、張哲さん(67)も「40年ほど店をしているが、こんなに高菜が品薄になるのは初めて」と驚く。

 張さんお手製のからし高菜は開店当初から。仕入れ先から「国産は手に入らなくなる」と言われたという。「まとめ買いしている高菜がなくなったら、もう店に出せないかもしれない」

 既に無料提供を取りやめたラーメン店も出ている。

      ■

 品薄の理由は、天候不順による国産高菜の生育不良に加え、農家の高菜離れという事情もある。

 高菜の産地として知られる福岡県みやま市によると、悪天候の影響で、同市の農協に登録する農家が今年4月に収穫した生産量は約69トンで昨年の半分。10年前と比較すると、5分の1程度まで減っているという。

 高菜は気候の影響を受けやすく、生産が安定しない傾向にある上、単価は安い。近年はナスやセロリなど安定した作物に転作する農家が増えた。その結果、4月時点の作付面積は2・41ヘクタールで、5年前の半分以下に減った。

 長崎県五島市のJAごとうでも、2017年度の生産量は2638トンと、5年前の7割程度まで落ち込んだという。

 JAみなみ筑後(みやま市)の職員は「高菜の価格が上がらないのは、安い中国産が多く入ってきているから。国産は辛味が出しやすく歯応えもいい。品質では負けていないのに」と頭を抱える。

      ■

 九州の特産品であるからし高菜が“全国区”に成長し、需要自体が伸びていることも追い打ちを掛けているようだ。

 大手コンビニエンスストアは近年、からし高菜入りおにぎりを九州以外でも販売。からし高菜入りチャーハンなど商品の種類も増えた。福岡県内の漬物メーカーによると、博多ラーメンの全国的な人気を背景に、高菜の納入先は九州以外に拡大しているという。

 そもそも、からし高菜の無料提供はいつから始まったのか。特命取材班が聞き込みを続けたところ、「発祥の店」とささやかれている店を見つけた。

 1959年創業のラーメン店「のんき屋」(福岡市中央区)。2代目店主の大石修也さん(55)によると、もともとは初代店主が自身の酒のつまみ用にからし高菜を作り、ラーメンに入れて食べた姿を見掛けた客から「私も欲しい」と頼まれたのがきっかけという。

 高菜を巡る異変は承知の上で、大石さんは言い切った。「うちの店が本当に最初かどうか分かりませんが、先代から続く高菜の無料提供は続けます」










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