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【あなたの特命取材班】「外国人講師」雇いたくても…地方、人材難で苦悩 福岡市での「雇い止め」報道 富山の学校が雇用申し出

2018年06月22日 03時00分 更新

記者:吉田真紀


  • 「福岡市の元GTの外国人を雇いたい」と申し出た学校法人片山学園から届いたパンフレット

 昨年度まで福岡市の小学校で「ゲストティーチャー(GT)」を務めていた外国人が、市教育委員会の新方針によって教壇に立てなくなった問題。本紙記事(5月17日付朝刊)を読んだ富山県の学校法人から「元GTを受け入れたい」との手紙が特命取材班に届いた。「雇い止め」との訴えに心動かされたという。文部科学省が外国語指導助手(ALT)の積極的な登用を求める中、人材確保に苦悩する地域の実情が浮かぶ。

 福岡市のGTは各学校から依頼を受け、市立小5、6年の外国語活動を担任教諭と共に担当していた。ところが、2020年度に通知表の対象となる教科として「外国語科」の授業が始まることを踏まえ、本年度からは市教委が派遣会社に業務委託する方式に変更。会社所属の外国人たちが教えることになり、GTたちの立場は宙に浮いた。

 手紙をくれたのは、富山県で私立中高一貫校を運営する学校法人片山学園。19年4月に「片山学園初等科(仮称)」の開校を予定し、グループ企業は学習塾・予備校も展開している。

 担当者は「記事を読んで悲痛な思いになった。グループ全体で、専任教師・講師として5、6人の雇用を検討したい」と申し出た。面接のために福岡に足を延ばす用意もあるという。

 元GTの多くは福岡に長く暮らし、子どもが地元の学校に通う人もいる。特命取材班が伝えたところ、複数の元GTは「家族の生活もあるので、富山への移住は難しい」としつつ「申し出てくれたことは非常にうれしい」と声をそろえた。

      ■

 富山の学校法人が、遠い九州在住の外国人まで採用対象とする背景には、切実な人材難がある。

 今年1月現在、富山県内の外国人住民数は1万6637人で、福岡県(6万307人)の3割に満たない。「富山県に大学が少ないので、留学生も少ない」(片山学園担当者)。現在、外国人を4人雇用しているが、人材派遣会社に頼み、わざわざ関東から来てもらったこともあるという。

 外国語教育の強化に向け、教育現場でALTを活用する動きは広がっている。文科省によると、全国の小学校で活躍するALTは昨年12月現在、1万2912人。13年の7735人から大幅に増えた。

 大学や企業が多い都市部に比べ、地方では教壇に立てる能力や経験のある外国人は多くない。人材確保に悩むのは、富山だけではないだろう。

      ■

 地方や離島など一部の自治体では、「外国青年招致事業(JETプログラム)」を活用してALTを確保している。福岡市教委のように、業者に業務委託する請負契約の例もある。

 ただ、請負契約については、筑波大の卯城(うしろ)祐司教授(英語教育学)は「偽装請負」の問題があると指摘する。「担任教諭が授業を行うALTに対し『子どもたちが理解していないみたいだから、もう一回発音して』などという指示は違法になる」。発注元が請負先の労働者に直接指示することは労働者派遣法で禁じられているためだ。

 卯城教授は「JETで来日した外国人の生活面のサポートもまだ不十分。ALTの効果的な活用、定着に向け、さまざまな課題と向き合う時だ」と話した。










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