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福岡空港の「民営化」

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福岡空港、成長への「秘策」 着陸経路変更案 騒音問題など“住民理解”が大前提

2018年07月02日 03時00分 更新

記者:黒石規之、岡部由佳里、石田剛


  • 地場連合が着陸経路の変更を提案した福岡空港=5月、福岡市博多区

 福岡空港の運営事業者となる地場連合が提案した着陸経路の変更は、発着容量の増大で福岡そして九州をさらに成長させる一手となる。だが騒音などで一部の周辺住民に負荷が増すのは避けられない。構想の成否は自治体や住民の理解が大前提となる。

 福岡空港は近年、アジアの成長で国際線の就航が相次ぎ、格安航空会社(LCC)も急増。2017年度の発着回数は過去最高の年間約17万1千回(ヘリコプター除く)に達し、遅延なく円滑に発着できる処理容量(16万4千回)を既に超えている。

 朝夕など混雑時の遅れが目立ち、国は1時間当たりの発着回数を制限する「混雑空港」に指定。新規就航や増便の時間帯が限られ、「希望時間に空きがなく就航をあきらめる外国の航空会社も多い」(国土交通省幹部)のが実情だ。

 過密化対策として20年1月には誘導路が二重化され、25年3月には滑走路が増設されるが、北風時にパイロットが手動で運航する現在の着陸経路では、航空機の間隔にばらつきが出て発着回数の上積みは限定的。地場連合は、今後も伸びが見込まれる航空需要を確実に取り込むため、ほぼ自動運航で航空機の間隔を詰められる経路変更が不可欠と判断したようだ。

 発着回数は、空港経営の根幹だ。発着容量が増えれば、路線網を拡充でき、乗降客数も拡大できる。航空機の着陸料や乗降客の空港使用料、ターミナルビルのにぎわいなど収益に直結する。地場連合は、国際線を拡充して訪日外国人客を増やす戦略を描いているとみられ、バスなどで九州各地の観光地や主要駅とのアクセス利便性を高め、空港の活性化を地域経済にも波及させる考えだ。

 一方で、航空機は着陸の方が離陸より高度が低く、経路変更で上空を通る着陸間際の航空機が増えれば、福岡県久留米市、小郡市、筑紫野市、太宰府市などで騒音や落下物への懸念が広がる可能性がある。

 そもそも地場連合が経路変更先として提案した久留米市付近からの直進経路は、悪天候時の遅延や欠航を解消するため、現滑走路に着陸誘導装置が設置された04年に新設されたもの。その際、国は視界不良の悪天候時に限った利用を前提に地元の理解を得た経緯がある。主要経路になることへの反発も予想される。

 経路変更は、市街地で利便性が高い一方で常に立地的な制約を受ける福岡空港のさらなる発展に向けた「秘策」とも言える。発着回数の拡大が地域にどのような恩恵をもたらし、騒音などの影響はどの程度増すのか。地場連合は、経路変更の具体案や地域とともに発展する空港の将来像を早期に示し、関係自治体などに丁寧に説明していく必要がある。

福岡空港の民営化 2019年4月から国管理の滑走路や駐機場の運営を民間企業に委託し、ターミナルビルと一体経営する。民間のノウハウで路線や商業施設を拡充して空港を活性化させる狙い。運営事業者の公募に五つの企業連合が名乗りを上げ、国が運営権(30年間)の購入価格(最低1610億円)や事業計画を審査。西日本鉄道や九州電力などの地場企業と三菱商事、シンガポールの空港運営会社などで構成する企業連合が運営事業者に内定した。









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