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元記者ピロシの醤油屋今日談

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1年ぶりに全部つながる久大線 災害の復興支援への思い 醤油屋今日談(14)

2018年07月13日 03時00分 更新

記者:川崎弘氏


  • 久大線の復旧の日に走るゆふいんの森号の乗客に贈られる弊社の醤油。 ラベルは、 日田温泉旅館組合様がこの日のために作製された

  • JR久大線が全線復旧するのに合わせて約1年ぶりに被災地を走る観光特急「ゆふいんの森」

  • 昨年7月の豪雨で線路がねじ曲がり、橋桁ごと流されたJR久大線の鉄橋。当時は復旧に「3年かかる」とも言われていた=昨年7月6日撮影

  • 川崎弘(かわさき・ひろし)氏
    1980年、佐賀市生まれ。2003〜17年、西日本新聞の記者として事件、経済分野などの取材・執筆を手掛ける。17年10月、妻の実家である大分県日田市の醤油・味噌製造会社「まるはら」に転職。14年ぶりに新入社員に。ロック、カレー、日本酒好き。



 まずお詫びから。前回(6月29日更新)は、本来は無料で読めるところが、有料コンテンツ扱いになっていました。現在は無料に変更されています。読み損なっていた方がいれば、ぜひ。ついでにqBizに興味を持たれる方が一人でも増えればありがたいです。では本題に。

 平成に入って最悪と言われる西日本一帯を襲った今回の豪雨災害。ここ大分県日田市も、昨年7月の九州北部豪雨で大きな被害が出た。今も傷跡が残っている地区があるので、2年連続の被災を免れホッとしているが、被災地の方々のお気持ちや復旧作業の大変さは察するに余りある。
 
 今月14日には、昨年の水害で鉄橋が流されて不通になっていたJR久大線の運行が再開される。当初、鉄橋の架け直しには3年かかると言われていたが、1年で見事に復活した。インバウンド客が多い由布院につながる路線だけに、活気が戻ってくることを期待したい。

 個人的にも、記者時代に最後に取材を担当したのが鉄道業界だったこともあり、復旧に合わせて何かできないか漠然と考えていた。そんな中、5月上旬に日田市の旅館が加盟する日田温泉旅館組合様から、一本の電話をいただいた。久大線の運転再開の日に列車の乗客に記念品を配る観光キャンペーンを検討しており、うちの商品で良いものはないか、という問い合わせだった。

 災害によって宿泊客の減少に見舞われただけに、復旧にかける期待がひときわ強いのだろう。無償提供ではなく、先方がお金をきちんと負担されるという。

 渡りに船である。季節柄、まず頭に浮かんだのはラムネだったが、先方は醤油の方が地域性が出るのでいいという。ただ、醤油だと一番小さいものでも360mlのボトルしかなく、車内で配るにはやや大きい。お土産用として製造している一升瓶のミニチュアボトルもあるが、揺れる車内でガラス瓶を配ると、落として割れるのが心配だ。
 
 社内で話し合った結果、他の商品に使っている手のひらサイズの100mlのペットボトルに、売れ筋の刺身醤油を詰めてはどうかということで話がまとまった。その日のうちに提案書を持参。後日、300個の注文をいただいた。
 
 ラベルは、温泉旅館組合様に特別に作製してもらい、うちが商品の充填とラベル張りを担った。当日は、久大線に1年ぶりに戻ってくる「ゆふいんの森号」の車内で配布してもらうことから、キャップは車体と同じ緑色に合わせることになった。

 醤油の充填やラベル張りは、同じことを繰り返す単調な作業だ。ただし、普段はない商品を作ると、もたついたり、予想外のトラブルに直面したりする。今回は復興支援の意味があるので価格も抑えている。

 にも関わらず、従業員の皆さん(小言が多い人を含め、笑)に、快く作業を引き受けてもらい(少なくとも私にはそう見えた)、スムーズに出荷することができた。職場で小難しい話をすることはほとんどないが、昨年の豪雨を体験しているだけに、大なり小なり復興に関われればという気持ちを社内で共有できている気がして嬉しかった。

 今回の醤油は、14日の午前中に走る「ゆふいんの森号」の車内で、乗務員さんが乗客の方々に配る予定だ。日田市大山町産のプラムやうきは市のブドウなど久大線沿線の特産品も一緒にプレゼントされるという。一つ一つの商品に込められた思いや汗に思いを馳せてもらえると、生産者としては冥利に尽きる。

 それにしても、今回の水害で特に被害が大きい岡山や広島の被災地は、1年後にどんな姿になっているのだろう。心配することしかできず、もどかしい。











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